第50章 自由のために
商船でライラから得た情報……モモのビブルカードの行方。
媚薬と引き換えに渡されたのは、1枚のビブルカード。
当然、モモのものではない。
それは、サカズキの副官のビブルカードだった。
『海軍元帥って、意外と忙しいのよ。いくらセイレーンが欲しくても、その元帥が自らビブルカードを持ってモモを探すと思う?』
言われてみれば、そのとおり。
海軍元帥の職務には微塵も興味を持てないが、サカズキがビブルカードの示す道を辿る可能性は低い。
『あの男の性格からして、他の大将を向かわせるより、副官を動かすでしょうね。それは、その副官のビブルカード。』
ローもビブルカードを作ったことがあるからわかるが、爪を材料にしてビブルカードにするには、新世界のある場所へ行かなくてはならない。
『サカズキがわざわざ、そんなところへ足を運ぶわけないわよ。副官に任せるに決まってる。うまくいけば、副官の手もとにはビブルカードどころか、モモの爪があるかもしれないわね。』
ライラとの取引で、ルフィたちの居場所ではなく、モモのビブルカードを選んだ理由。
それは、自由を得るためでもあるが、できることならモモの爪がビブルカードになる前に押さえたかったから。
もし、モモのビブルカードが出来上がってしまったら、サカズキや副官だけでなく、千切りに千切って数多の海兵の手に渡ることだろう。
そうなれば、すべてを回収できる可能性が絶望的に低くなる。
だから、ローたちは多少無理をしてでも、早めの行動を起こす必要があったのだ。
モモが海軍の船から脱出して、数週間。
彼らもしばらくはモモを探し回ったとして、今もまだモモの爪がビブルカード化されていない確率はいかほどだろうか。
これは、賭け。
しかし、ローは己の強運を信じていた。