第50章 自由のために
「最後に、二人に聞く。お前たちは、今回の件で互いに上陸がふさわしいと思うのか。」
「「……。」」
モモはコハクを見た。
大事な大事な、愛する息子。
彼の無鉄砲さはよく知っている。
父親に似て仲間想いの彼は、危険に晒されたとしても、我が身を省みず、突っ走っていくことだろう。
母親として、ローたちと一緒に行かせられない。
(わたしが見ていなくちゃ、コハクは……。)
コハクはモモを見た。
大事な大事な、ただひとりの母。
彼女が無茶をする人だということを、コハクは誰より知っている。
他人のミスには甘いくせに、自分のミスには厳しいモモは、きっといつも以上に無茶をして、危険に巻き込まれることだろう。
(母さんは、オレが見ていないと……。)
「異論はないようだな。」
「「……。」」
ローはひたすら、2人の扱いがうまかった。
互いに互いを想わせることで、納得させる。
今回は戦力が必要になる。
ゆえに、戦闘員は多ければ多いほどいい。
しかし、モモを船に置いていくにも不安が残る。
だが、コハクがいれば、うまく立ち回ってくれるだろう。
「きゅい…ッ」
小さな相棒ヒスイが、コハクの肩からローの肩に飛び乗った。
まるで、自分は一緒に行くぞ!と言うように。
「お前も留守番だ、チビ。」
「……きゅい!?」
なぜそこでショックを受けるのかは知らないが、緑の身体をつまみ上げ、コハクの頭上に落とした。
「他の連中は、戦闘に備えろ。あくまで目的はモモのビブルカードだ。それを忘れるなよ。」
「「アイアイサー!」」
ヤツらがモモを攫ったツケは、いずれ払わさなければいけない。
しかし、それは今ではないのだ。