第12章 デート
(わたしとローが…恋人…!)
途端に顔が真っ赤に染まる。
(いや、ちょっと待って…。だとしたらさっきのって…。)
街に行こうと、昼食を食べて帰ろうと、誘ってくれた。
それに対して自分は…。
『なにか用事があるの?』
『船でみんなと食べようよ』
(さ、最悪だわ…。)
ローの気持ちを踏みにじるようなことを言ってしまった。
ズーンと気持ちが落ち込み、顔色がみるみる真っ青になる。
「モモ…、さっきから顔色がヤバいくらい変わってるけど、大丈夫?」
ひとりで赤くなったり、青くなったりと百面相をするモモに恐る恐る声をかける。
「どうした?」
「あ、船長。モモの様子がおかしくて…。病気ッスかねぇ。」
キッチンへ入ってきたローに、見たままを伝える。
「なんだと? オイ、大丈夫か。」
グイッと顎を掴んでこちらを向かせた。
「ロー…。」
ジワリと瞳が潤んだ。
(せっかく誘ってくれたのに、ごめんなさい。)
そう言いかけて、言葉を飲み込んだ。
そんなことを言ったら、さらに追い討ちをかけるようなものじゃないか。
「どうした、どこか調子が悪いのか?」
なおも心配そうに尋ねてくる。
「…ゴハン、なに食べたい?」
「あ?」
「ゴハン、なに食べたいかなぁ…って。」
苦し紛れの言い訳をする。
「つまり、どこか悪いわけじゃねェんだな?」
ローの念押しにコクリと頷いた。
「心配させやがって…。別になんでもいい。お前のメシはなんでも美味いからな。」
安心したように短くため息を吐き、モモの頭をワシワシと撫でた。
その仕草にさらに泣きたくなる気持ちを抑え、笑顔を作った。
「俺、オムライスがいいなぁ。」
「じゃあ、そうするね。」
空気を読めず、自分のリクエストを素直に言うペンギンに乗っかることにした。