第50章 自由のために
びくびくと伸縮する胎内に、ローの白濁が最後の一滴まで注ぎ込まれた。
吐き出しやすくするためか、熱を吹く切っ先が緩やかに上下する。
「あ…、あぁ……。」
達したばかりの身体には、僅かな刺激すら辛い。
満足いくまで精を吐いたローは、繋がったままの体勢で、モモの上に身体を被せる。
肩口に顔を埋め、ふぅ…と息を吐く彼の頭を、よしよしと撫でる。
「……びっくりした。」
これは恨みごとではなく、本当の気持ち。
心地よい眠りから覚めたら、いきなりとんでもないことになっていた。
たぶん、誰だって驚く。
「驚いたのは、俺の方だ。まさか、ここまで起きねェとは思わなかった。」
どこまでされたのかは知らないが、そんなに言うくらいだ、寝てる間に想像もしたくないようなことをされたらしい。
「お前、寝込みを襲われても気づかないんじゃねェか? あぁ…、考えるだけで胸くそ悪ィ。」
「大丈夫、わたしを襲うのは、ローくらいなものだから。」
いったい、なんの心配をしているのか。
ローの考えることは、時折理解できない。
しかし、それはローも同じ気持ちらしい。
「お前のそういう無自覚なところ、たぶん一生治らねェんだろうな。くそ、……心配だ。」
でた、心配性。
少し癖のある黒髪を指で弄びながら ため息を吐くと、むっとしたローが腰を揺らし、内側の壁を擦られる。
「ひゃ…ぁんッ」
ようやく落ち着いたところなのに、中途半端に刺激を与えられると、奥がくすぶり辛くなる。
「や…、もう……抜いてよ。」
「嫌だ。」
そんな子供じゃないんだから。
図体の大きい子供は、モモの耳朶を食みながら、なかなか上から退こうとしない。
こんなふうに甘えるローは、珍しい。
「どうかしたの?」
吐息が耳をくすぐり、ぞわぞわとした感覚を我慢しながら尋ねると、彼は「どうもしない」と首を振る。
「だがもう少し、こうしていたい。」