第50章 自由のために
「……なんの話だ。」
ただひとり、展開についていけないローが眉をひそめる。
「なんでもないの。」
こんな話をしていると知られたら、なんだかいろいろと恥ずかしい。
「ええっと、わたしになにか用?」
誤魔化すよう問えば、どうしてか、ローの眉間にシワが1本増えた。
「……?」
よくわからなくて首を傾げると、後ろでひそひそとシャチたちが囁き合う。
「でたでた、船長の過保護。」
「見えるところにいないと、不安でしょうがないんスね~。」
「……船の中なのにか?」
「お前ら、なにか文句があるのか……?」
普段より声の鋭さが2倍ほど増して尋ねると、「なんでもありません」というように、3人は同時に首を横に振った。
「……それで、わたしに用って?」
「うるせェ、いいから来い。」
とばっちりのように怒られて、なんだか納得いかない。
けれど、こういう時のローは、言うことをきかないと後々面倒なので、とりあえずついていった。
ローが向かった先は、なんの捻りもなく、彼の自室だ。
本当に用があったのかと疑いたくなるが、黙って中に入る。
しかし、バタンとドアが閉まったとたん、突然ローが豹変して、ドンと壁に押しつけられる。
「きゃ、なにを……んんッ」
噛みつくように唇を塞がれ、強引に舌を捻込まれた。
上顎を擦られ、絡んだ舌を痛いほど強く吸われる。
「ふ…、うぅ…ん…ッ」
不意打ちのような口づけについていけず、モモは必死にローの胸を押す。
しかし、鍛え上げられた身体はびくともせず、逆に手首を掴まれて、壁に縫い止められる。
「ん…、や…ぁ…ッ」
脇腹から胸にかけて手のひらが這い、なんの遠慮もなく膨らみを揉み上げた。
「ひぅ……ッ」
服の上から先端を抓られ、痛さと快感が混じって、声にならない声を上げる。
「……いい声だ。」
ようやく解放された唇で、ぜえぜえ息を整えながら、涙目でローを睨んだ。
「急に…なにするの……!」
モモにとっては急な行動でも、ローにとっては違うらしい。
当然のように告げられた。
「ふん…、他の男のニオイをさせてるお前が悪い。」
他の男って、みんなのこと?
それにニオイって、汗臭さが移ったってこと……?