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セイレーンの歌【ONE PIECE】

第49章 休息




しかし、大金に動揺したのは、身内であるモモとシャチだけ。

当のライラは札束に目もくれず、がたりと席を立った。

「悪いけど、あたしが欲しいのは、お小遣い程度のお金なの。そんな大金、興味ないから。」

格好いい。
そんなセリフを言ってみたい。

……が、今は感心している場合ではない。
ライラに去られてしまっては、モモたちが困るのだ。


「待って、ライラ。わたしたち、その情報をどうしても知りたいの!」

別れたきり、連絡が取れなくなってしまった麦わらの一味。
今頃、どこでなにをしているのだろう。

そして、サカヅキの船。
脱出してから行方がわからないが、あそこにはモモのビブルカードがある。
取り返さない限り、いつまでも海軍は自分たちを追い続ける。

どちらも知っておかねばならない情報。

しかし、ライラにも事情がある。
前回は成り行きで助けてくれたものの、今回もそうとは限らない。

「助けてあげたいけどね。こっちも慈善で活動してるわけじゃないし。」

確かに、苦労して手に入れたであろう情報を、無償で手に入れようなんて、ムシがよすぎる。

「……金では動かないんだろ? なら、なにならいい。」

ストレートに条件を尋ねると、彼女は少し考える素振りを見せた。

「そうねー…。あ、そうだ、あんたの血をちょうだいよ。」

「血だと?」

「そ。さっき言ったでしょ、あたしは能力者の血を飲むと、その能力をちょっとだけ使えるようになるの。」

オペオペの能力は、医術の知識がないと使いこなせない力だが、稀少なものには変わりない。

「俺の血を…お前が飲むのか?」

「そう。どうする? あたしはどっちでもいいけど。」

自分の血を飲まれるなど、いい気持ちはしない。
しかし、それを提供するだけで、欲しい情報が手に入るのだから、多少は我慢すべきだろう。

「……わかった。」

渋々頷くと同時に、それまで黙っていたモモが、急に割って入ってきた。

「だ、ダメ……!!」



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