第49章 休息
「ライラ、あなたは……何者なの?」
そう尋ねると、彼女は艶やかに笑い、脚を組み直す。
その仕草がとても妖艶で、同性でありながらドキドキした。
……たぶん、年下のはずなのに。
「前に言ったじゃない? 同じホワイトリストの仲間だって。」
そういえば、前に会った時にそんなことを言っていた。
あの時は聞き返すヒマすらなかったけど。
モモが出会うホワイトリストの手配者は、ライラで2人目。
もうひとりは、サウザントサニー号に身を寄せていたサクヤ。
彼女も“古い物に宿る精霊、付喪神の声が聞こえる”という特殊能力を持っていた。
ならば、ライラも…?
「あなたも、なにか不思議な力を持っているの?」
想像もできなかったので、直接本人に尋ねてみた。
すると彼女は、ホワイトリスト手配者にとって、最大の秘密である能力を、あっさりと打ち明けた。
「まぁね。あたしの一族は、ヴァンパイアの末裔なの。って言っても、太陽の光で灰になったりしないし、十字架に触れて火傷したりもしないけど。」
童話に出てくるような、おぞましい魔性ではない。
ほとんど人間。
ただ、出し入れ自由な黒い翼と、ちょっとした特殊能力が残っているだけ。
「血を吸うとね、その人の能力が少しだけ使えるようになるのよ。」
ライラ自身、悪魔の実の能力者ではない。
でも能力者の血を吸うと、その血液量に見合った分だけ、能力を使うことができる。
「ただし、夜限定でね。ヴァンパイアの名残なのかしら、理由はわからないけど。あんたと違って、使い勝手の悪い能力でしょ?」
「そんなこと、ないと思う……。」
例えば、ローの血を吸ったら、オペオペの能力を使えるようになるのか。
もし、モモにそんなことができたなら、ローの力を借りなくても、キラーたちを助けることができたのに。
隣の芝生は青く見える…なんてよく言うが、まさしく無い物ねだり。
モモには、彼女の能力がとても素晴らしいものに思えた。