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セイレーンの歌【ONE PIECE】

第49章 休息




日の出と共に、律儀に船へ返ってきたジャンバールと船番を交代し、モモとローは再び商船の中へと出掛けた。

目指すは、たくさんの情報を売り買いできる酒場。
通称 情報酒場だ。

「情報って、例えばどんなことを売っているの?」

「それこそ多種多様だな。人の居場所だったり、軍の内部情報、料理の作り方…なんてのも売っている。」

もしかしたら、今ここにいるハートの海賊団の情報だって、売られているかもしれない。

かくいうローだって、シーザー・クラウンの居場所をここで買い取った。

「……高いの?」

「まあ、情報にもよるが…それなりに。」

数百ベリーから億越えまで、料金は交渉しだいだ。

「わ、わたし…お小遣いを全部持ってきたわ。それから、売れそうな薬もいくつか。」

「やけに荷物が多いと思ったが、そんなもんを持ってきたのか。」

けれど残念ながら、モモのささやかな小遣いでは足しにならない。

「金のことは気にするなと言ったはずだ。」

「でも……。」

「お前はもう少し、甘えることを学んだ方がいい。」

実際、ハートの海賊団は金に困っていない。
なぜなら、ローがその気になれば、金銀財宝など どうでもよくなるくらい、あっさりと資金を稼げるからだ。

いつの時代も、人間の“生き長らえたい”という欲望ほど強いものはない。

オペオペの能力を有した外科医は、その腕だけで目玉が飛び出るほどの資金を手にすることができる。

だというのに、ローの可愛い恋人は、いつまでたっても甘えてくれない。


「お前がどうしても気になるなら、こういうのはどうだ。」

ふと妙案を思いついて、彼女の肩を抱く。

「どういうの?」

「……身体で返す。」

身を屈め、耳もとで囁けば、モモの顔がリンゴのように赤く染まる。

「な…ッ、もう…! わたし、真面目に言ってるのに!」

「俺もいたって真面目だが。」

「もう、いい!」

頬を膨らませ、そっぽを向かれる。
これでしばらく、金銭を気にしなくなるだろう。

だが、残念。
わりと本気だったのに。



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