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セイレーンの歌【ONE PIECE】

第49章 休息




深く息を吐きながら、ローはぐったりと弛緩したモモの身体を抱きしめた。

行為の最中から、そんな予感はしていたが、すっかり意識を飛ばしている。

緩みきった身体とは反対に、モモの胎内は未だ収縮し、欲望を吐き出したロー自身を締めつける。

再び熱源が頭をもたげる前に、このままでいたい気持ちを抑えながら、モモの中からずるりと引き抜いた。

ひくつく蜜口から、どろりとした白濁が流れ出した。

ローが作り出した情熱は、モモの身体を内側から浸食し、消えない痕を残すだろう。
それを心から、嬉しく思う。

「……モモ。」

夢の中へと旅立ったモモを横たえながら、彼女の唇にキスを落とす。

綴じられた瞼が開けば、美しい金緑色の瞳がローを見つめてくれるのだろう。

それが、セイレーンの証。

「守ってやる、俺が……必ず。」

赤犬からも、運命からも。

モモの頭の下に腕を差し込み、その隣でローも横になった。

胸にもたれかかる彼女の柔らかさと温かさが心地よい。

眠る気などなかったはずだが、モモの存在を感じているうちに、瞼が重くなってくる。

まるで安眠剤のように。

(そうだな…、お前はいつも…俺にとってそういう存在だった……。)


いつも……?




夢を見た。

幼い子供と、その母親の夢。

まだ年端もいかないその子供は、母親の膝に擦り寄って甘えたいのを必死に我慢し、辛抱強く話を聞いている。

一方、母親は子供の肩に手を置き、これは大切なことだと言い聞かせる。

『いい? 約束をして。絶対に滅びの歌だけは、唄ってはいけないと。』

『ほろびのうた? どうして?』

『恐ろしいことが起きるのよ。……とてもね。』

母親の剣幕に押された子供は、びくびくと震えながら『どんなこと?』と聞き返す。

『誰もがみんな、不幸になる歌。たぶん、あなた自身も。だから絶対、唄ってはいけないのよ。』

神妙に頷く子供の瞳は、金緑色。
よく見れば、その母親も。


これは、夢か?

心の中で問いかける。

俺は、この女を見たことがある。

そう、あの日…モモが力を失ったあの島で。


『唄わせないで。あの子に…、あの歌を……。』


そう言った女の亡霊は、確かに同じ瞳の色をしていた。



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