第49章 休息
ボタンを外していた手が胸もとに上り、はだけたそこを広げるように侵入してくる。
「あ…、ちょ…ロー…。」
鎖骨を指先でなぞられ、ずくりと背筋に震えが走る。
この期に及んでも、モモの腰は引け気味だ。
(ああ、もう。せっかく恋人同士になれたのに…。)
恋人にしか許されない睦み合い。
それをなぜ積極的に楽しむことができないのか。
ローに触れたい、触れてもらいたい。
その気持ちはすごくあるのに、どうしたって恥ずかしさに負けてしまう。
ならばせめて、抵抗するような言葉を口にしたくない。
それなのに、口をつくのは「待って」や「いや」など、拒絶の言葉ばかりだ。
そうしている間にも、胸の膨らみは暴かれ、下着に包まれた柔肉を手のひらで揉まれる。
「や…ぁ…ッ」
また可愛くない反応をしてしまった。
けれどローは、そんなモモの反応など気にした様子もなく、手の中で形を変える膨らみの柔らかさを楽しんでいる。
じっくりとした動きに、腰のあたりがもぞもぞして身を捩ると、ローがくすりと笑った。
「悪いな。お前には少し、刺激が足らなかったか。」
「ち、ちが…ッ」
言うが早いか、ローは下着のフロントホックを弾き、器用に締め付けを外してしまう。
締め付けが緩まり、息がしやすくなったとたん、浮き上がった下着の隙間からするりと手が滑り込み、直に胸を包む。
「や……ッ」
少しだけカサついた手のひらに、胸の先端が擦れ、びくりと身体が跳ねる。
敏感すぎるモモの反応に、ローは機嫌よく喉の奥で笑う。
「本当に感じやすいヤツだな。」
「そ、そんなんじゃ──あぁッ!」
突然、胸の頂きを抓られ、いやらしい声を上げて己の敏感さを証明してしまった。
そのまま扱くように刺激を与えられれば、もはや言葉も紡げない。
「あ…ッ、んん…、んぅ…ッ」
いやらしく喘ぐことが恥ずかしくて、指の背を噛み、必死に漏れる嬌声を飲み込む。
「ん…ッ、んぐ…ぅ…ッ」
しかし、我慢すればするほど、声を抑えることが難しくなる。
たかだか胸を触られているだけなのに。
自分でもわかるほど、足の付け根が湿り気を帯びている。
きっと下着の中は、すごいことになっているだろう。
拒絶の言葉を吐きながら、真逆の反応をする身体に戸惑い、そして恥ずかしさで泣きたくなった。