第49章 休息
それから、モモはローにコラソンのことを尋ねて、ローはモモに海賊になっと時のことを尋ねた。
ローの話を聞くことはもちろんだけど、自分のことを話すのは、思いのほか楽しい。
今まで過去の話には触れないようにしていた。
だけど話してみると、大切な思い出が再び色づき、それをローと共有できている気がした。
ローも同じだといいな。
自分の過去を振り返って、モモと共有できていると思ってくれれば、これほど嬉しいことはない。
「じゃあ次は、ドフラミンゴを倒した時のことを教えて。」
ようやく、1番聞きたかった質問にたどり着いた。
何年も何年も、追い続けてきた仇。
そのためにモモは、別れを選んだといっても過言ではない。
それを成した時、ローはなにを思い、なにを感じたのだろうか。
「よくもまァ、次から次へとおもしろくもねェ話を聞きたがるもんだ。」
「いいじゃない、別に。」
モモからしてみれば、自分に向けられる質問の方がよほどおもしろくない。
「それとも、聞かれたくない話?」
「イヤ、お前が聞きてェなら、俺は構わねェが…。」
「なら、聞かせて。」
モモがせがむと、ローは新聞では報道しきれない事実を、その口で語ってくれた。
ルフィとの出会いと再会。
注目を浴びた海賊同盟。
作戦のために、悪の科学者シーザー・クラウンに協力していたこと。
因縁の相手、ヴェルゴとの決闘。
そして、ドフラミンゴの本拠地、ドレスローザ。
「正直、まったく歯が立たなかった。ドフラミンゴを倒せたのは、ほとんど麦わら屋のおかげと言ってもいい。」
「……。」
モモの中では、いつでもローこそが最強の男。
その彼がそこまで言うのなら、ドフラミンゴとの戦闘は、まさに命を懸けた激戦だったのだろう。
(わたしの選択は、間違っていなかった。)
もしこの6年の間、コハクを抱えた自分がローの傍にいたならば、彼は同じ決断をできただろうか。
大切なものの存在は、時には力を与え、時には力を奪う。
本当は傍にいたかった。
誰より1番、ローを支え、願いを叶える瞬間を共に見たかった。
そんな夢を捨て、別れを選んだ。
これで本当によかったのか…と何度も自問自答したけれど、その答えが今、見つかったのだ。