第49章 休息
ローはあまり、ドフラミンゴとの対決について多くは語らなかった。
しかし、今もはだけたパーカーから覗く右腕の傷痕が、あの日の激戦を生々しくモモに伝えた。
腕がもげ、ぼろぼろになっても、ローは勝利を諦めなかった。
その痛みは、どれほどのものだっただろう。
だけどそんな痛みを、些細なことだとローは言う。
「命があるだけ、儲けもんだ。この計画を進めた時から、もう二度と、アイツらには会えないと思っていたからな。」
死を覚悟し、仲間に“別行動を指示する”というローなりの別れを告げた。
仲間を自分の復讐に巻き込めない。
一見冷たく見えるけど、本当は誰より仲間想いな彼らしいやり方。
その瞬間を思うと、切なくて胸が張り裂けそうだ。
「…ローの雄姿、きっとコラさんも空から見てるね。」
「さァな、あの人はとにかくドジだったから、無事にあの世へ行けたかどうかも怪しいもんだ。」
実際、コラソンはローに、復讐など望んでいなかっただろう。
彼はきっと、ドフラミンゴのことなどさっさと忘れて、自由に生きてほしい…そう願ったはずだ。
「結局、復讐は俺の自己満足でしかない。だが、それを果たさない限り、俺は前に進めなかった。」
「……うん、わかるよ。」
あなたはそういう人だから。
愛情深く、何事にも真っすぐで。
だからわたし、言いたかったの。
ずっと…。
「おめでとう、ロー。」
どんな経緯でも、誰の力を借りようとも、あなたはドフラミンゴに勝利した。
それだけは、変わりようもない事実。
ドフラミンゴは牢の中。
そしてローは、新たな海へと旅立つ。
どこでも、どこへでも、自由の翼を手にして。
今度は、わたしも一緒に。
「わたし、見てみたい。あなたが…ひとつなぎの大秘宝を手にするところ。」
きっと、すごく険しい道だろう。
けれど今度は、わたしも一緒連れて行って。
「言われるまでもねェよ。取るべきイスは…必ず奪う。」