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セイレーンの歌【ONE PIECE】

第49章 休息




窓から赤煙を確認したのと同時に、船の外からも歓声が上がった。

「見ろよ、商船が出店してる!」

「ほんとだ! おれ、行きたい!」

再び騒がしくなり始めたデッキにモモたちが出ると、クルーたちがいっせいに振り向いた。

「キャプテン! 商船に寄りたい!」

「俺も、新しいルアーが欲しくて!」

モモたちは麦わらの一味と合流するため、先を急ぐ身。
寄り道なんかしているヒマはない。

特に無駄なことが嫌いなローが、寄り道を許すはずもない。

(……って、みんな思っているんだろうなぁ。)

まさかその船長が、たかが料理のために商船に寄りたがっているなんて思いもせずに。

みんなの懇願を受けたローはといえば、わざとらしく大きなため息を吐いた。


「……仕方ねェな。」

「えッ、いいの!?」

まさか許可がおりるとは思っていなかったのだろう、みんなが飛び上がらんばかりに驚く。

「今回だけだぞ。」

いかにも不承不承な態度なローに、内心呆れる。
素直に自分も行きたいって言えばいいのに。

とはいえ、モモも商船に興味があるので、異議を唱えたりしないけど。

「決まったなら、さっさと舵を切れ。」

「「アイアイサー!」」

ベポが舵を切ると、船首がゆっくり赤煙の方へ向きを変える。

モモを探してくれているルフィたちには悪いが、どれだけ長い航海になるかもわからないのだ。
補給できる時にしておくのも悪くない。


「珍しい薬草とかあるかしら。」

「あるんじゃねぇの? 商船って、世界中の商品を扱ってるらしいし。」

コハクが質問に答えたから驚いた。

「どうしてそんなことを知ってるの? コハクだって商船は初めてでしょう?」

てっきり、自分と同じように疑問ばかりかと思ったのに。

「いや、だって…。海上市場の商船を考えたのは、メルだろ。オレ、よく話聞いてたし。」

「……うそ!」

海を旅する者なら、知らぬ者はいないという商船。
そんなすごいものを、メルディアが作ったなんて知らなかった。

「だから、世界一の商人って呼ばれてるんだよ。」

確かに、メルディアは世界一の商人だって知っていたけど。
でも、まさか、そんなにすごいことをしていたなんて…。

親友の偉業さえも知らないなんて、自分の世界はどれだけ狭いのだろう。



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