第49章 休息
真っ昼間から落とされたローの爆弾発言に、動揺を通り越して唖然としていると、リビングのドアが開いた。
「いやー、疲れた疲れた。」
デッキの掃除を終えた仲間たちが、ぞろぞろと入ってくる。
なぜか、びしょ濡れで。
「ど、どうしたの、みんな。」
艶めいた雰囲気をどうにかしたくて、誤魔化すように尋ねた。
「せっかくだから、デッキをブラシ掛けしたんッスよ。そしたら隅々の汚れも気になってきて、いっそ丸洗いするか!ってなって…。」
シャチとペンギンは、決して家事ができないわけじゃない。
ただ、やる気にムラがあるだけだ。
でも、そのやる気は、できれば分散させてほしい。
「おれ、水汲み頑張ったよ! デッキの汚れ、全部流したんだ!」
ドヤ顔で胸を張るベポは、大ざっぱなことしかできない。
なんとなく、状況が見えたけど。
ちらりとドアの外に目を向ければ、唯一部屋に入ってこなかったジャンバールが、びしょ濡れで佇んでいる。
「…最終的に、ポンプにホースを繋いで、この有り様だ。」
つまり、デッキでは掃除兼水遊びが開催されたわけだ。
「うん、まあ、いいんだけど。」
そこの3人、特にベポ。
そんなびしょ濡れで部屋に入ってきたらさ、床が…。
濡れ鼠…ならぬ濡れクマがオレンジ色のツナギを絞ったところで、ローの額に青筋が浮いた。
“ROOM”
サークルが展開したことを確認した瞬間、能力が発動し、3人の姿がパッと消えた。
「あれ?」
モモが部屋を見回すと同時に、外からバシャーンと大きな水音が響いた。
次いで、3人の叫び声も。
「「うわー!!」」
バチャバチャと水を叩く音が聞こえ、モモがデッキへ飛び出すと、3人は仲良く海面に浮かんでいた。
「チッ、掃除した先から汚しやがって。そこで身体を洗ってから上がってこい。」
それは口で言えばよかったのでは。
上がってきたら、またびしょ濡れのままだ。
「ジャンバール、面倒をみとけ。」
3人のお世話を丸投げすると、お仕置きを免れたジャンバールは、諦めたように頷く。
1番の後輩なのに、かわいそう。
「みんなでお風呂、入ってきてね。その間にゴハン、作っておくから。」
海面で暴れる3人には、聞こえているかわからないけど。