第49章 休息
スカートの裾から侵入した手は、太腿を遠慮なく撫で上げ、普段人目に晒すはずもない柔肉にも触れる。
「……んッ」
どんなに拒んだって、好きな人に敏感な部分を触れられたら、甘い声が出てしまうのは仕方のないことだと思う。
反対の手が背中に回り、緩く抱きしめられた。
「……痩せたな。」
どこのどの部分に触れてそう思っているのだ。
胸だったら、ショックすぎる。
「しょうがないでしょう。いろいろ…、あったんだから。」
海軍の船ではまともな扱いを受けていたが、食欲なんて湧くはずもなく、前の島は食料危機だった。
体重なんて気にしたこともないが、もしや今の自分は、大変みすぼらしい体型になっているんじゃないか。
「あんまり、触らないで。」
「なんでだ。」
「だって…、見せられる身体じゃないもの。」
言わせないでよ、バカ。
恥じらうように目を伏せれば、太腿を撫で回していた手が、唐突に腹部を掴む。
「ひゃッ!」
腹部から腰の辺りをまさぐられ、擽ったさに身を捩る。
「ちょ、ちょっと…ッ」
例え腹が出ていなくても、その辺を触られるのはいろいろと嫌だ。
「そうだな…、もう少し太れ。」
感想を言われるのは、もっと嫌。
「こう…、折れそうで怖ェ。」
いや、そんなに華奢じゃないから。
「ちゃんと食べていれば、すぐに戻るわよ。」
悲しいかな、女子の身体とはそういうものである。
「なら、食え。肉にしろ。確か、前に仕入れた海獣の肉があるはずだ。」
「なにをルフィみたいなこと、言ってるの。」
どうも海賊の中には、肉を食べれば万事解決説があると思う。
ちなみにモモは、肉より野菜が好きだ。
「…俺の腕の中で、他の男の名を出すとはいい度胸だな。」
「肉話をしたのはローの方でしょう。」
しかし、これはチャンスだ。
甘い雰囲気が消えつつある。
「でも、このままじゃ食事もできないから。」
「は? なんで。」
「だからッ、船が汚いんだってば!」
やっぱりこの人、聞いてなかった!