第48章 欠けた力
カトレアとの挨拶を済ませると、今後はメルディアと向かい合う。
「メル、ありがとう。」
彼女が動いてくれたのは、モモが心のどこかで、カトレアに会いたい気持ちを諦めきれないでいることを察してくれたからだ。
「水くさいわね、こんなことくらいで。」
最初から頼ってくれればよかったのよ…とボヤくメルディアは、どこか拗ねているように見える。
「手紙だって、私宛てに書いてくれれば渡してあげるのに。」
今回の件で、カトレアはメルディアの取引先になったわけだから、これからも会う機会がある。
「うん…、ありがとう。」
「もう、何度も言わなくていいから。」
照れくさいのを隠すために、メルディアはわざとツンとそっぽを向く。
そんな彼女が大好きだ。
わたしは本当に、いい友達を持った。
モモにとって、それが1番の財産である。
「……キャプテ~ンッ、モモ~ッ!!」
船の上から、ベポが呼ぶ声が聞こえた。
見ると、我らが海賊船は風と波に乗って、ずいぶんモモたちから離れてしまっている。
「そろそろ行くぞ。あんまり離れすぎると、アイツらがうるさい。」
もう十分うるさいと思うけど、モモは素直に頷いた。
「じゃあ、行くね。」
最後にもう一度、カトレアとメルディアを振り返る。
もう名残惜しさは感じない。
「気をつけてね、おねえちゃん。」
「ちゃんと連絡よこすのよ。」
それぞれに頷いたところで、ローが片手をスッと上げる。
“ROOM”
パッ、と風景が切り替わったと思えば、次の瞬間には再び船の上。
「キャプテン、モモ! 急にいなくなるから心配したよ!」
「ごめんね、ベポ。…そんな泣きそうな顔をしなくても。」
つぶらな瞳がうるうるしてて、可愛いじゃないか。
「メルとカトレアが見送りに来てくれたの。」
「え、どこ?」
柵に手を掛けて目を凝らすベポに、モモは「あそこ」と指をさす。
ほら、波打ち際に2つの人影が。
「んー…、あれ? なんか、いっぱいいるよ?」
「……え?」
いっぱい?
そんなはずは……。