第48章 欠けた力
モモたちの行く末を見守っていたホーキンスが、無表情ながらにくすりと笑った。
「なにがおかしい、バジル屋。」
バカにされたわけじゃないってわかっているくせに、喧嘩腰に問うのはやめてほしい。
「いや…、少し羨ましくてな。」
「羨ましいだと?」
「ああ…。」
なにがあったかは知らないが、ローには昔のモモの記憶がない。
どんなに絆が強くても、別れは必ず訪れるのか。
3年前、ローと再会した時はそう思った。
しかし、どうだろう。
今 目の前ににいる彼らは、6年前と変わらず強い絆で結ばれたままだ。
記憶が消えても、道を違えても、決して切れたりしない。
それが少し、羨ましかった。
「あの、ホーキンスさん。すみません、せっかく占ってもらったのに。」
モモはホーキンスが案じた道を選ぼうとしている。
だからこそ、彼は結果を言おうとしなかったのではないか。
「言っただろう、占いは目安だ。選ぶのはお前自身でなければ意味がない。」
それに、心配は杞憂だったかもしれない。
「お前なら、お前たちなら…、俺の占いすら越えていくかもしれんな。」
そうであってほしい。
そんなふうに思うのは、初めてのことだ。
「では、俺は行く。今日は獣を追うと運気が上がると出た。」
「あ、はい…。ありがとうございます。」
そう言うと、ホーキンスは長衣を翻して家を出ていった。
彼とキッドが協力するとなると、キツネがちょっと哀れだ。
たぶん、今日中にはキツネを殲滅…ではなく捕獲するだろう。
そうなると、モモたちは思ったより早く旅立てるかもしれない。
再び、あの海へ…。