第48章 欠けた力
結果を告げたホーキンスは、カードを纏めて懐にしまった。
これで占いは終わりのようだ。
(……どうしよう。)
少しでも力を取り戻すヒントになれば、とホーキンスに占いを頼んだ。
それなのに、まさかこんな結果が出るなんて。
ヒントどころか、さらに迷ってしまう。
そんなモモを見て、ローは叱るように額を小突く。
「くだらねェ。占いよりも、お前がどうしたいか…だろ。」
「……うん。」
「何度も言うが、俺はお前の力があろうがなかろうが、どっちだっていい。」
確かにモモの力は強大なものであったが、それが絶対に必要かと言われれば、そうではない。
モモの強さは歌ではなく、もっと別なもの。
ローはそう考えていた。
「だが、お前が歌を己の誇りだと思っているなら、迷う必要もないんじゃねェのか?」
「……!」
わたしの、誇り。
そう、その通りだ。
歌は自分の誇りであり、人生だから。
「どちらにせよ、選ぶのはお前だ。けど、後悔だけはするなよ。」
後悔はしたくない。
だって、今まで何度、過去を悔やんだことだろう。
けれど未来は不透明で、どちらを選んだら後悔しないか…なんてわからない。
もしかしたら、どちらを選んでも後悔するのかも。
だったら、今の自分が後悔しない方を選びたい。
「ロー…。」
そっと袖を握って見上げると、彼は大きく頷いてくれた。
「忘れるなよ、お前には俺がついている。どんな敵や不運が待ち構えているとしても、ビビるんじゃねェ。」
いつだって、ローの言葉は勇気をくれる。
「うん…。ロー、わたし…、力を取り戻したい。」
力が宿っていなくても、歌に変わりないと言ってくれたこと、すごく嬉しかった。
だけど、セイレーンの力はモモの誇りで、いつもすぐ傍にあったもの。
苦しい時も、嬉しい時も、隣でモモを支えてくれた。
消えたからって、悪いことが起きるからって、諦められるものじゃない。
それに、ローやみんなと一緒なら、どんな困難も乗り越えられる気がする。
「それでこそ、俺の女だ。」