第48章 欠けた力
結果を導き出したばかりのカードをパラパラと手のひらに収めながら、ホーキンスは無表情に告げる。
「まず…、モモの力は失われてはいない。」
「え……!」
どれほど悪い結果が出たのかと心配していたのに、ホーキンスが言ったことは嬉しいものだった。
消えてしまったと思っていたセイレーンの力は、失われていないという。
「じゃあ、どうして使えないんでしょうか。」
「それは俺にはわからん。だが、お前の力が身の内に眠っているのは確かだ。」
眠っている。
つまり、モモの力は封印のような状態にあるのだろうか。
それとも、ただのスランプか…。
「……で、それだけってワケじゃねェんだろ。」
「……。」
ローが指摘したとおり、これだけであれば、ホーキンスが言いづらそうにする理由はない。
なにか他に、悪いことがなければ…。
「…俺の占いは、細かな事情や解決方法はわからん。占いとはあくまで、行動の目安とするものだ。」
どんなに当たる占いでも、それに頼りきれば己自身に悪影響を与える。
「前置きはいい。さっさと話せ。」
「……。」
ホーキンスはペラリと1枚のカードを捲った。
なにやら絵柄が描いてあるが、それがどんな意味を持つのか、モモにはわからない。
でもたぶん、良くないカードなのだ。
「言ってください、ホーキンスさん。わたし、どんな結果でも知りたいです。」
お願いしたのはモモだ。
一応、覚悟だってできている。
「……占いによると、力は失われていない。だが、取り戻してはならん。…そう出ている。」
「……!」
その結果は、想定外のことだった。
消えてしまったとか、戻らないとか、そういうことだと思っていたのに。
取り戻してはいけないって、どうして?
「もし力を取り戻したら、どうなるんですか?」
「詳しくはわからんが…、良くないことが起きるのだろう。」
良くないこと。
それってなんだろう。
力を失うよりも悪いこと。
簡単には想像できそうになかった。