第11章 大好きが止まらない
その後、ローと他愛もない話をしながら、本を読みふけった。
「オイ…、今日はもう、そのへんにしとけ。」
「ん、もうちょっと。」
今、いいところなのだ。
もう少しキリのいいところまで読んでしまいたい。
「ったく、そう言って全部読んじまうつもりなんだろうが。」
言うことを聞く気のないモモから本を取り上げる。
「あ…!」
強引に奪われて、恨みがましい目を向ける。
「また明日読めばいいだろ。」
そう言って、さっさと本棚にしまってしまった。
「…もう!」
自分のときはいつまでも夜更かししてるくせに!
「あ? 文句言ってねェで、とっととこっちへ来い。」
ローはベッドに横になると、手招いてモモを呼んだ。
(…そんなので、懐柔されないんだからね。)
心の中で毒づいたものの、身体は嘘を吐けず、笑顔を零しながらローの下に飛んでいった。
ローが捲ってくれたふとんの中に潜り込む。
そういえば、こうして意識があるときにベッドに入るのは初めてだ。
いつもソファーで眠るモモをローが勝手に運んでいたから。
気恥ずかしさもあって、こちらを向いて横になるローの胸に顔を押し付けた。
胸いっぱいにローの香りが広がる。
ローが頭を優しく撫でてくれた。
(これは…、すごく、幸せだ…。)
こんな機会を今まで無駄にして来たと思うと、なんてもったいないのだろう。
そのままローの心音を聞きながら、目を瞑った。
どれくらいそうしていたことか。
やがてローは規則正しい寝息を立て始めた。
(ロー、眠っちゃったのね。)
正直なところ、もっともっと話がしたかった。
抱きしめたかった。
キスしたかった。
今までどうして我慢できていたのだろう。
ローとどう接したらいいかわからなくて、彼を避けていた頃の自分が信じられない。
一度自分の気持ちに気づいてしまえば、もう止めることなど、出来そうにない。