第11章 大好きが止まらない
「ロー…、寝た、の…?」
腕の中でモゾリと顔を上げて尋ねてみる。
返事はない。
(……本当に寝ちゃったんだ。)
モモは身体を軽く起こし、ローの腕から抜け出す。
そして、じっと彼の寝顔を見つめた。
(綺麗な顔……。)
男性に綺麗だなんて言ったら怒られてしまうかもしれないが、それほどローの顔立ちは整っている。
そんな彼の寝顔を眺めていると、胸の奥に熱い感情が湧き上がってくる。
(……好き。)
どうしようもなく、あなたが好き。
そっと頬に触れてみた。
ピクリと睫毛が揺れた気がしたけど、目を覚ます気配はない。
(起きない…よね?)
彼が深く眠っていることを確認してから、モモはゆっくりと顔を寄せた。
そして、安らかに寝息を立てる唇に、自分の唇を重ねる。
「ロー…、好き。」
グイッ
瞬間、視界がぐるりと反転した。
「──!?」
突然のことに、なにが起きたか理解できない。
ただ、目の前には眠っていると思っていたローが、しっかりとモモを見つめて覆い被さっている。
「ロー…! 起きて…──」
「お前、俺を煽ってんのか?」
モモの言葉を遮るようにローが言う。
「え……?」
「せっかく俺が、ここまで我慢してやってんのに、どういうつもりだ。」
我慢……?
「なんのつもりか知らねェが、これ以上煽るなら、無理にでも抱いちまうぞ。」
ローの瞳には、明らかな欲情の光が見える。
(ロー、だからなの…?)
急に素っ気なくなったり、キスの約束をなかったことにしたり。
ローも、わたしに触れたかった…?
「ロー…、我慢なんて、しないで。」
「……あ?」
我慢なんてしないで、もっと──。
「わたしに触れて。わたしも、あなたに触れたい…。」
あなたが、大好き。
次の瞬間、モモの唇はローによって塞がれていた。
合わさると同時に、彼の濡れた長い舌が潜り込んでくる。
「ん…、んぅ。」
舌を絡め、口づけが深くなるにつれて、モモの息はいっそう乱れてしまう。
ヌルヌルとした感触が与えられるたびに、身震いを覚える。
「いいんだな。もう、止められねェぞ。」
「止め、ないで……!」
痛くても、苦しくても、あなたに触れていたい。