第48章 欠けた力
「おねえちゃんの居場所…?」
そう尋ねられて、カトレアはようやく疑問に思うことができた。
今まで彼らが、病気を治してくれるという事実に興奮していたから気づけなかったけど。
(この人たちは、どうして村にきたの?)
明らかに島の外部の人間で、明らかに普通の旅人ではない。
そんな彼らが、どうしてこの村にやってきたのか。
(おねえちゃんのために、きたんだ。)
キッドやホーキンスと違って、モモは突然現れた。
どういう事情があるのか、カトレアはよく知らない。
けれどなんとなく、モモとキッドたちは“仲間”ではないんだろうなぁ…と感じていた。
キッドはモモに弱音を吐くことを許さなかったし、逆にホーキンスは気遣いすぎて言いたいことが言えないようだった。
そしてモモは、2人に救いを求めることがなかった。
頼りっぱなしのカトレアは、彼女になにも言うことができなかったが、本当は知っている。
優しいモモが、カトレアの願いに押し潰されそうになっていること。
自分じゃダメなんじゃないかって、責めていたこと。
モモの傍にはキッドとホーキンスがいたけど、本当の意味で、彼女の隣には誰もいなかった。
病気だけじゃなくて、孤独とも闘っていた。
でも、カトレアはそれに目を瞑ってしまった。
だって、カトレアには…この村には、彼女しか頼れる人がいなかったから。
(でもそれって、すごく自分勝手だ。)
モモの優しさをいいことに、甘えたんだ。
謝らなくちゃ。
ごめんなさいって。
だけどそれは、今じゃない。
カトレアのするべきことは、この人を彼女のところへ導くこと。
だって、きっとこの人は……。
「おにいさんは、おねえちゃんの仲間ですか?」
カトレアの問いに、ローは頷きかけて、それから「いいや」と否定する。
「アイツは…、俺の女だ。」
それってつまり、仲間よりも大切ってことですか?
じゃあ、行かなくちゃいけないよね。
「…あっち。村はずれの、小さい家にいます。」
大丈夫。
きっとこの人は、戻ってきてくれる。
そして、みんなを助けてくれる。
そしたら言おう、ごめんなさいって。