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セイレーンの歌【ONE PIECE】

第48章 欠けた力




それからしばらく歩くと、ようやく目的の村が見えてきた。

偵察のために、顔が知られていないメルディアが先にひとりで様子を見に行く。

しかし、彼女はすぐに戻ってきた。

「…軍の関係者はいなかったわ。」

「いない?」

頷くメルディアに、ローは神妙な面もちでヒゲを弄る。

この島にモモがいることは間違いない。

ならば、なぜ村に海兵がいないのか。

どこかに潜伏するにしても、忌み嫌われる海賊ならともかく、正義の象徴である海軍が村を避ける理由はない。

「それだけじゃないの。なんだか、村の様子もおかしかったわ。」

「おかしい? どんなふうに。」

「海兵どころか、村の住人にすら会わなかったわ。やけに静かで…、なんか薄気味悪い。」

昼下がりの村。
普通なら、活気づく時間帯だ。

「え…、まさか、幽霊村…!?」

ぞぞっと顔色を青くするベポに、メルディアは「それはないわ」と否定する。

「家の中に人はいるみたいなの。戸を叩いても、誰も出てこなかったけどね。」

「ゆ、幽霊だ! モモはオバケに食べられちゃったんだ…!」

「あんた、私の話聞いてる? その毛皮むしるわよ。」

言いながら、ブチリと熊毛を抜く。


「…村に向かうぞ。」

幽霊のくだりは無視し、ローは全員で村に入ることを決めた。

「いいんですか、船長。もしかしたら、家の中に海兵が潜んでるかもしれないぜ。」

シャチが奇襲の可能性を示唆するが、それを鼻で笑う。

「だまし討ちをするような連中なら、蹴散らせばいいだけの話だ。」

少なくともサカズキほどの男なら、正面から向かってくる。

メルディアの言うとおり、遠目に見える村に薄気味悪さを感じたが、今はただ、少しでも早くモモに会いたかった。



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