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セイレーンの歌【ONE PIECE】

第48章 欠けた力




あの日、モモと別れてから2週間が経過した。

そして今日、メルディアと再会して以来、初めて事態が進展した。

「キャプテン、やっぱりあの島に間違いなさそうだよ。」

そう言って肉球つきの指が差す方向には、小さめの島が浮かんでいた。

「…間違いないのか?」

「アイアイ!」

嬉しい報告のはずなのに、ローが疑い深くなるのは、なぜ彼女がこんな島に…? という想いが強いからだ。

サカズキに捕まったモモ。

彼女のビブルカードを辿ってここまで航海してきたが、まさかこんな島に着くなんて。

(海軍がこんな島に、なんの用だ…?)

首を捻るローの隣で、シャチも同じ疑問を口にする。

「メル姉さん、このビブルカードは本当にモモのもんですか?」

「当たり前じゃない。」

「でも、本部でも基地でもない島に着いちゃいましたよ。」

「そんなこと、私は知らないわよ。でもこれは、間違いなくモモのビブルカードよ。」

赤いマニキュアが塗られた指先が、ベポの持つビブルカードを取り上げる。

それを手のひらに乗せると、紙切れはずりずりと島の方向へ動き出す。

「どうするの? あんたたちが行かないなら、私ひとりで行くけど。」

勝ち気な瞳が、挑戦的にローを捉える。

その視線を相手にする様子もなく、彼は島を眺めた。


ビブルカードは唯一の道しるべ。

それが示す場所ならば、どんなところにも行ってみよう。

(例え、どんな敵がいたとしてもな…。)

双眼鏡を覗く先に、停泊した2隻の船が見えた。

島が陰になっていて様子は窺えないが、武装具合から一般の船ではないことがわかる。

戦闘は必至。

サカズキから受けた傷は、まだ完全に癒えていない。

けれど、そんなことは関係ない。

今度こそ、ハートの海賊団のすべてをもって、モモを取り返す。

「上陸させろ。」

「「アイアイサー!」」

さて、鬼が出るか蛇が出るか…。



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