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セイレーンの歌【ONE PIECE】

第11章 大好きが止まらない




ぱっとローの身体が離れた。

「…?」

「腹…、減ったな。」

「え…?」

そういえば、あんなことがあったせいで朝からなにも食べていない。

空腹になるのも当然だ。

「そうだよね、すぐなにか作るわ。」

デッキから急いで船内に入る。

ローと2人で食事をとれるのは嬉しい。

だけど、なんだか物足りなかった。

(もっと、触れていたかったな…。)

さっきまで合わせていた唇が、なんだか熱い。



キッチンにて手早く食事の支度をするモモの背中を、ローは椅子に座って眺めていた。

(さっき、ヤバかったな…。)

ほんの少しキスをするつもりが、あっという間に火がついて、そのまま押し倒したい衝動に駆られてしまった。

合意ではないとはいえ、一度彼女の身体を手に入れてしまったのが良くなかった。

あの時の幸せを、快感を忘れられず、少し触れているだけで、すぐに気持ちが煽られるのだ。

けれど、さすがに昨日の今日でモモを求めるのは酷だろう。

強引に抱いたせいで、そうとう無理をさせてしまった。

今日は彼女の心を手に入れただけで十分。

ここは少し自制するべきだ。


「はい、お待たせしました。」

エビやムール貝の入ったペスカトーレに、菜園で仕入れた野菜をふんだんに使ったサラダ。

海の上にいる間は野菜が不足しがちなので、上陸しているときにたくさん摂っておきたい。

「美味いな。」

「うん。菜園のおじさん、いい人だったの。たくさん苗や種を分けてもらっちゃって。」

それも格安で。
彼の心意気に応えるためにも、大切に育てたい。

「そういえば、母は歌で薬草を育てていたの。だから、わたしも同じように唄ってみたいと思う。」

自分の歌で育てた薬草で薬を作る。
モモの夢のひとつだ。

(メルディアに負けてられない。わたしだって夢を叶えてみせるわ…!)


「お前の母親も同じ力を持っていたのか?」

「うん、血筋なんだって。代々一族の女の人に受け継がれる能力だって聞いたわ。」

なぜ女性だけなのか、他にセイレーンがいるのか、今となっては知る方法はない。

でも例えば、モモが子供を産み、その子が女の子だったら、同じ能力を受け継ぐということなのだろうか。

生まれながらに追われる身。
自分の子にそんな運命を、できれば背負わせたくない。


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