第11章 大好きが止まらない
「いってらっしゃーい!」
船を降りて、街へ向かう3人を手を振って見送った。
みんなで食事が出来なかったことは残念だけど、そんな機会はこれから飽きるほどあるだろう。
それなら今日は、ゆっくりしよう。
船内に戻るため、くるりと振り向くと、すぐそこには当たり前のようにローがいた。
「ローも遊びに行ってもいいよ。船番はわたしがするから。」
思えばローが一番、島を楽しめていないような気がする。
気を利かせたつもりだが、ローは心底呆れたようにため息を吐いた。
「お前の頭は本当に残念だな。ほんの数時間前、自分になにがあったかも覚えてねェのか。」
「……。」
すみません、捕まってました。
「でも…、船番くらいは--」
「今度は船ごと攫われる気か?」
返す言葉もありません…。
しょんぼりとうなだれると、ローが近づいてくる。
伸ばされた腕が、モモの耳の後ろをくすぐった。
「ひゃ…ッ」
くすぐったい…!
ビクリと身を捩ったモモを、今度は抱きしめた。
「二度と、あんな目には遭わせねェよ…。」
「ロー…。」
どうやら彼は、今回の件でひどく自分を責めているらしい。
「ロー、ごめんなさい。わたしがいけないの。なにも言わずに出て行ったりしたから。」
あの時、ちゃんと話し合うべきだったのだ。
そうしたら、自分の気持ちに、ローの想いに、もっと早く気がつけたかもしれない。
さらりと彼の手がモモの髪を撫でた。
「ああ、そうだな。お前が悪い…。俺から離れようとするから、他の男に目を付けられるんだ。」
「他の男って…。」
なんだかずいぶんニュアンスが違うように感じるが。
「だからもう、離れんじゃねェぞ。」
真剣な眼差しがモモを射抜く。
まっすぐに感じる彼の独占欲。
それがなんだか心地よかった。
「うん…、約束する。」
ローはその答えに満足すると、そのままモモの頭を引き寄せてキスをする。
「……ん。」
唇を何度も食まれ、優しく吸われた。
それを物足りないと感じてしまうのは、モモが贅沢になってしまったからか。
もっと、触れたい…。
抱きしめられたまま、ローの服をぎゅっと握りしめた。