第11章 大好きが止まらない
いつの間にか日が暮れ始めてきたため、一行は一度船に戻った。
「あー、一時はどうなるかと思ったけど、無事に全員で戻って来れて良かったなぁ。」
「ご、ごめんなさい。」
「や、責めてるわけじゃねぇよ。安心したって言ってんの!」
でも、この船に乗ってからというもの、海軍やらクラゲやらアイフリードやら、ろくなものを呼んでない。
「あのなぁ、モモ。こんなん序の口だぜ? 俺たちは今まで、もっとしんどいこと、いっぱい経験して来たんだから。」
「そうッスよ。うちの船長は向こう見ずだから、ほんとヒヤヒヤもんで…--」
「なんか言ったか?」
ギロリとローが睨んだ。
「いえ…ッ、なにも言ってないッス。」
「でもほんと、モモが来てからキャプテンは丸くなったよ。」
ローに聞こえないように、ベポがこっそりと囁いた。
以前のローは、目的のためなら己が傷つくことも厭わず、突っ走るところがあった。
彼の過去が影響しているのだろうが、それが少々心配だったのだ。
でも、モモが来てからローは変わった。
優しくなった。
周りにも、自分自身にも。
ベポはそれがなにより嬉しかったのだ。
「ほんと、モモが仲間になってくれて良かったな!」
「ベポ…。それはわたしのセリフよ。」
「いやいや、ほんとモモが来てくれて良かったッスよ! メシも美味いし!」
そういえばこの船に来て、最初に役に立ったのは料理だった。
「そんなことで良ければ、いつでも作るよ。あ、そうだ、今日はひさしぶりにみんなで船で食べる?」
「え、いいの? やった…--」
ドカッ
ペンギンの背中をシャチが足蹴にする。
相変わらず、空気の読めない男だ…。
「ちょっとシャチ、なにするの!?」
大丈夫? とペンギンを助け起こす。
「あー、悪い悪い…。モモ、今日さあ、ちょっと俺たち3人、用事があんだよ。だから、船番をお願いできねぇかな?」
用事があったのか。
それは無理な提案をして悪かったな。
「そうなの。わかった、今日はわたしが船番してるから、ゆっくり出かけてきてね。」
「え、用事なんか…--」
ムギュ
今度はベポがその口を塞いでやった。