第47章 病魔の住処
「それに、俺たちに報復しようという気概がある者なら、毒殺など考えずに、真っ向から挑んでくるだろう。」
「そういうものでしょうか…。」
当然のように頷くので、勝負の世界はそういうものなのかと納得する。
だとしたら、原因は別にあるはずで。
「ダメですね、わたし。大見栄切ったくせに、こんなに役立たずなんて。」
キッドには不安を表に出すなと言われたものの、つい弱音を吐いてしまう。
一緒にいるのが、ホーキンスだからということもある。
彼の飾らない雰囲気によって、つい心の声を零してしまうのだ。
「役立たずなどではない。」
落ち込んでいるから、慰めてくれてるんだ。
気を遣わせてしまったことに、「すみません」と呟いて苦笑する。
けれどホーキンスは、いたって真面目に首を横に振る。
「嘘ではない。占いでそうでた。」
「占いで?」
彼の占いはよく当たる。
それは6年前からよく知っていることだ。
「キラーが倒れた時、ヤツの生存率は20%だった。だが、お前が来てから再び占うと、70%に上がっていた。これは、お前が助けるという証拠だ。」
なんの確証もないのに、ホーキンスは占いの結果を信じて疑わない。
モモからしてみれば、残りの30%が気がかりでしかたないけど、それでも気分は大きく浮上する。
「ありがとうございます。わたし…、頑張ります!」
そんなモモの様子を見て、ホーキンスは僅かに口角を上げ頷く。
しかし次の瞬間、ホーキンスの瞳に警戒の色が走り、鋭くモモの背後に視線を向ける。
ガサ…!
視線につられてモモが後ろを振り返るのと、茂みが大きく揺れたのは、ほぼ同時だった。
(カトレアかな?)
少女の姿を思い浮かべ、茂みを見つめていると、およそカトレアのものとは思えない唸り声がモモの耳に届く。
「グルルル…。」
現れたのは、大きなホワイトタイガー。
カトレアどころか、人間ですらないじゃないか。
「…って、虎! この森、こんな猛獣がいるの!?」
虎ってジャングルとかにいるんじゃないのか。
まかさこんな小さな島の穏やかな森に、モモの頭を丸飲みできそうなほどの虎がいるなんて!
カトレアは、カトレアは大丈夫だろうか。
周囲を見回し、必死になって姿を探した。