第47章 病魔の住処
「伝染病じゃない、だと…? おい、そりゃァ…どういうことだ。」
モモの導き出した答えに瞠目し、詳しく説明しろと急かす。
「わたし、思いこんでいたの。患者さんの症状が同じだから伝染病だと。他の病気だってことも、十分あり得るのに…。」
たった今 まとまったばかりの考えを2人に話す。
興奮気味に話したから、きちんと理解してもらえるか不安だったが、2人ともちゃんとわかってくれた。
「なるほどな…。だが、伝染病以外にこんなことがあんのか?」
「あるわ。赤ちゃんが元気なことを考えると…食中毒や輸血による感染。あと、それから……。」
いくつかの候補を上げたモモは、途中で言葉を切った。
「それから? あとはなんだ。」
「……。」
ちらりとカトレアに視線を向け、答えを言い淀む。
「…ねえ、カトレア。これだけ発症者が多いってことは、輸血の線は薄いと思うんだけど、一応病院に確認してもらえないかしら。」
さすがに輸血は個人で行えない。
病院への確認が必要だ。
「わかった! ちょっと聞いてくるね。」
大きく頷いたカトレアは、勢いよく家を飛び出していった。
「……で? あのガキを追い出してまで言えなかったことはなんだ。」
さすがキッド。
モモの意図を察していたらしい。
「うん、ちょっと聞きたいんだけど…。あなたとキラーって、この村に来てからいつも行動を共にしていた?」
「ああ。」
「本当に? 四六時中、24時間?」
「……なにが言いたい。」
まどろっこしいモモの言い方に苛つき、「要点はなんだ」と睨む。
「えっと…その…。原因のひとつに、…性病も考えられるなって思って。」
性交渉によって引き起こされる感染症。
治療薬が見つかる前は、梅毒は不治の病として娼館や売春宿を悩ませていたという。
「ああ、なるほどな。」
つまり、キラーが村人の誰かと関係を持ったかを聞きたい。
「ふん、バカらしい…。娼婦でもないカタギの女に手を出すほど、俺らは困っちゃいねぇよ。」
「じゃあ、そういうことはなかったと思っていいのね?」
「ないな。」
きっぱりと断言するキッドに、モモは心から安心した。
原因がそんなことじゃなくて、本当に良かった…。