第47章 病魔の住処
病人の症状は、腹痛・黄疸・肌の痒みなどといったキラーと似た症状から、咳や血痰、激しい頭痛なども稀にみられた。
「咳か…。まさか、結核? …ううん、でも全員に現れているわけじゃないし。」
思い浮かぶ伝染病と症状を、ひとつずつ当てはめていくけど、どれもぴんとくるものがない。
発症者の職業も、大工や猟師、売り子など統一性がなかった。
「あんまり役に立たなかったかな…?」
黙って考え込むモモを見て、カトレアが申し訳なさそうにした。
「ううん、そんなことない。すごく参考になるわ。」
足りないのは、モモの知識だ。
頼みの世界樹の知恵も、今回はなにも教えてくれない。
「カトレア、簡単でいいから村の地図を書いてくれる? それで発症者の家の場所に印をつけてほしいの。」
病気を特定するには、感染源を知るのも大事だから。
「うん。」
村は広くない。
カトレアはすらすらと紙に地図を描いていく。
その間、モモは再び考え込む。
今まで、こんなことはなかったという村。
だとすれば、気になるのは襲撃してきた海賊だ。
発病もキッドたちが海賊を撃退したすぐあとだし、彼らがなんらかの原因を持っていたのではないだろうか。
そうでなくとも、感染源は海からやってきた可能性が高い。
考えが纏まりかけたところで、カトレアが「できた!」と声を上げた。
できあがったばかりの地図へ視線を落とす。
「あ……。」
違う…。
カトレアが描いた地図の印を見て、モモは眉間にシワを寄せた。
海や外から感染源がきたならば、海沿いや港近くの村人は、多数発病しているはず。
けれど地図を見る限り、発症者は少ない。
(原因は、海からきたんじゃないの?)
こればかりは間違いないと思っていたため、なけなしの自信は見事に崩れ落ちた。
ローだったら。
ここに彼がいたならば、この僅かなヒントから病を特定できるのだろうか。
こんなにも、悔しいことはない。