第47章 病魔の住処
雲ひとつない青空の下、キッドと2人で村への道を歩んだ。
この眩しい空を、どこかでローたちも眺めているだろうか。
会いたい。
とてつもなく。
もし、この島の病を解決できたなら、みんなを探しにいけるだろうか。
「おい、なにを呆けてやがる。」
「あ…、ごめんなさい。」
いけない、今は想いを馳せている場合ではなかった。
目の前のことに集中しないと。
「これから行くのは、あのリンゴのガキのところでいいのか。」
「え…、カトレアを知っているの?」
昨日も一昨日も、キッドはカトレアと顔を合わせていないはずだ。
それなのに、どうして彼女のことを知っているのだろう。
「ああ。たまに家の前にリンゴを置いていくからな。本人は気づかれていないとでも思ってるだろうが。」
その差し入れのリンゴを、昨日はモモが持っていた。
2人に繋がりができたと考えるのは自然な流れだ。
「…あの子、あなたに助けられたって言っていたわ。」
「助けちゃいねぇよ。小物の海賊がデカイ顔してやがったから、潰しただけだ。」
結果、村人たちは海賊から解放されたわけだが、キッドとしては善意のつもりはない。
「でも、教えてくれてもよかったのに。」
そうすれば、村人たちが海賊をあんなに敵視していたことも少しは想像がついた。
「はぁ? あんな小物を潰したくらいで、お前にいちいち言わなきゃいけねぇなら、何日あっても足らねぇよ。」
「そういうことじゃないんだけど…。」
彼は歓迎されないことに慣れきっている。
だから、誤解されていると気づいても、敢えて解こうとしない。
どちらかといえば、ローと同じタイプだ。
「それに、村の連中もぶっ倒れてるって知ったら、お前は放っとかねぇだろ。」
「え?」
事実、モモは村人たちも助けたいと思っている。
「キラーや村のヤツらの不調が、伝染病かもしれないことは、俺にだって想像がついた。」
「それって…!」
わかってて、黙っていたということ?
「どうして、そんなこと…。」
「トラファルガーとは、いずれやり合うだろうが、その原因がお前だなんて胸くそ悪いだけだ。」
「は…?」
「その意味がわからねぇから、お前はバカなんだよ。」
全然答えになってない。
バカバカって、なんなの?
わたしはなにに、気づけていないのか。