第47章 病魔の住処
翌日、モモは早速カトレアに会いに行こうと決めた。
それというのも、キラーの容態が悪いからだ。
かろうじて水分や食べ物を飲み込んでくれるものの、保っていられるのは、ひとえにキラーの強靭な体力のおかげだ。
薬剤師だというのに、モモはなんの役にも立っていない。
でも、これからだ。
カトレアという協力者を得た今、やれることはなんでもやるつもりだから。
「……。」
昨日、ホーキンスとした約束を、忘れてはいない。
村に出かける時は、ホーキンスかキッドに同行してもらうこと。
どちらかについてきてもらうなら、当然ホーキンスがいい。
キッドのことが、よくわからないから。
横暴かと思いきや気遣われたり、無理難題を突きつけられたかと思えば正論で打ちのめされたり。
表情の乏しいホーキンスよりも、よほど付き合いにくい。
そんなモモの想いとは裏腹に、現在ホーキンスは出かけている。
占い師でもある彼には、モモの知らない信仰のようなものがあって、その日によって異なる決め事がいくつも存在する。
例えば、争いごとをしてはいけない日だったり、肉を食べてはいけない日。
朝日に向かって祈りを捧げなければいけない日など…。
お告げのようなそれらを、ホーキンスは律儀に守るので、必然的に出かけることが多くなる。
そうなれば、家に残るのはキッドしかいない。
ホーキンスが戻るのを待っていたら、何時になるかわからない。
部屋の隅に座るキッドに声を掛けた。
「キッド、わたし これから村に出かけるから。」
ついてきてもらうには、どう説得したらいいか。
そんなふうに悩んでいると、キッドは返事もせずに立ち上がる。
「あ……。」
そのまま出て行こうとするから、焦った。
キッドまでいなくなったら、出かけられない。
なんとか引き止めなくてはと思っていたら、玄関の前でくるりと振り向いた。
「なにをちんたらしてんだ、行くぞ。」
「え…? あ…、はい。」
それって、一緒にきてくれるってこと?
確認する間もなく、外へ出て行ってしまうから、慌ててあとを追いかけた。
本当に、わからない人だ。