第47章 病魔の住処
少女の考え方は、正論で冷静だった。
村の大人たちよりも、よほど大人である。
年の割に大人びた子供。
カトレアの影に、モモの愛しい子の姿が重ねて見えた。
(……会いたい。)
切なくって痛む胸を押さえながら、改めて思った。
(なんとかしなくちゃ…!)
キラーのため、村人のため。
そしてなにより、愛する人たちに胸を張って顔向けできるようにするために。
「カトレア…。わたしね、薬剤師なの。」
「薬剤師?」
「薬屋さん…みたいなものよ。」
この村では診察から薬の調合まで、すべて医者ひとりが行っていたのだろう。
薬剤師に馴染みのないカトレアにもわかるよう、簡単に仕事を説明した。
「それじゃあ、病気を治すお薬も作れるの!?」
期待に瞳を輝かせる彼女には申し訳ないが、モモは首を縦に振ることができない。
「今は…無理よ。でも、病気の正体がわかれば、作れるかもしれない。」
それを特定するには、自分ひとりの力では難しい。
「ねえ、カトレア。わたしに力を貸してくれない?」
幼い少女に助力を求めるのは、間違っているかもしれない。
でも、病状は刻一刻と悪化している。
なりふり構っていられないのだ。
それに、周囲に惑わされないカトレアなら、モモの見えないものも、気づいてくれるように感じたから。
「私が、力になれるの?」
「うん。もちろんよ。」
少なくとも今、自分よりもカトレアの方が情報を多く持っている。
「なんでもする! 私、みんなが元気になるなら、なんでもする!」
モモの手をキツく握り、カトレアは首が取れそうなくらい、何度も頷いた。
「ありがとう…。一緒にみんなを助けよう?」
「うん!」
先行きの見えない未来に不安を抱える中、モモは小さな協力者を得た。
ロー、見ていて。
わたし、諦めないから…!