• テキストサイズ

セイレーンの歌【ONE PIECE】

第47章 病魔の住処




カトレアの話によると、ふた月ほど前、この島にとある海賊団がやってきたそうだ。

新世界を旅するだけあって、悪名高い海賊たち。

彼らは村を占拠するやいなや、金目のものを強奪、酒や食料を喰い荒らし、村人たちを虐げた。

村人たちは、海賊の滞在は一時的なものだと願い、命を守ることだけに徹した。
たまたま村を訪れていた商人や旅人が、抵抗の末に殺されていくのを目にしたから尚更。

けれど、海賊たちは島を隠れ家にしようとしたのか、なかなか海へ旅立つことがなかった。

略奪のせいで食べるものにも困窮し、川の水で腹を膨らませる日々。

しだいに疲労は蓄積し、限界が近づいていた。

「そんな時だったの。あのお兄ちゃんたちが、村にやってきたのは…。」


それは海賊たちが襲来してから1ヶ月後、ひと月前の出来事だった。

ある日、山の向こうから3人の男たちがやってきた。

キッド、ホーキンス、キラー。

彼らは見るからに常人とは異なる雰囲気を纏っていて、単なる旅人とは思えなかった。

3人もまた、海賊なのだと知ったのは、村をアジトとしていた海賊たちが騒いだからだ。

『コイツら、最悪の世代だ!』

それからすぐに、海賊vs海賊の闘いが始まった。

けれど、村を占拠していた海賊たちは、軽く100人を超えていた。

かたや3人の海賊。

勝敗は見えていた。

誰もが、そう思っていたのに…。


「結果はお兄ちゃんたちの圧勝! 負けた海賊たちは、尻尾を巻いて逃げていったんだよ!」

村は解放され、自由を取り戻した。

「でも、お兄ちゃんたちも海賊でしょ? みんな素直にありがとうって言えなくて…。」

キッドたちも海賊。
助けてくれたからといって、恩人と崇めることなどできなかった。

そして彼らも村人を助けたつもりもなかったのだろう。
ただ、刃向かってきた敵を蹴散らしただけ。

だけど、救われたのは事実だったので、村人たちは歓迎こそしなかったが、物資の補給や調達など、できるだけ協力をした。

そう、初めのうちは友好的だったのだ。

あんなことがなければ、今もきっと…。

「それから1週間後のことなの。村に突然、怖い病気が流行り始めたのは…。」

まるでキッドたちのあとを、ついてきたかのように。



/ 1817ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp