第10章 覚醒
「わたしなりの、戦い方…。」
ずっと、仲間たちのお荷物だと思ってた。
守られるだけの、そんな存在になりたくなかった。
だからせめて、薬剤師として役に立とうと躍起になって勉強した。
でも、わたし、ちゃんと戦えてた?
みんなと一緒に…。
「嬉しい…、わたし、仲間になれたのね。」
「なに言ってんだよ、モモは初めっから俺たちの仲間だろ!」
「そうッスよ!」
そんなふうに、当たり前に言ってもらえることを、後ろめたさから素直に受け止められなかった。
でも今は違う。
「ありがとう、シャチ、ペンギン…!」
「おおーい、モモー!みんなー!」
遠くから、自分を呼ぶ声がする。
海を見ると、ハートの海賊団の船がこちらに向かってくるところだった。
船の上には、オレンジ色のツナギを着た白クマが手を振っている。
「ベポ!」
「モモ! 良かった、無事だったんだね!」
ベポは転げ落ちるように船から下りると、モモを軽々と抱き上げた。
「モモ、キャプテンの意地悪からはボクが守るから、船に戻って来てよ…!」
「オイ…。」
「やだ、ベポ。わたし、逃げ出したわけじゃないのよ。」
「え、そうなの?」
ベポは少々勘違いをしていたようだ。
「なんだ、良かった~。ボク、親友がいなくなっちゃうのかと思って心配したよ。」
「…親友?」
「え!? なに、そのビックリした顔! ボクたち、親友だと思ってたのに、違うの?」
ベポはモモを抱き上げたまま、愕然とする。
「ベポ…。」
今まで、友達なんていないと思ってた。
メルディアが、初めての友達だとばかり…。
ローのことと言い、わたしはなんて愚かなのかな。
自分には、友達どころか、親友がいたのだ。
すぐ傍に…。
「ううん、ベポはわたしの親友よ。」
その首にギュッと抱きついた。
「よ、良かった…。ボクだけ思ってたのかと…。」
「モモ! 俺だって、仲間で親友ッス! だから、ホラ、抱きついて!」
ガバリとペンギンが腕を広げる。
「ふざけんな、この下心野郎! モモ、俺は純粋に仲間兼親友だからな!」
そう言いながら、シャチも腕を広げた。
思わず笑ってしまった。