第46章 美女と野獣
麦わらの一味と別れ、ハートの海賊団がビブルカードを頼りに航海すること早数日。
「キャプテーン、みんなー! 島が見えてきたよ!」
海賊船を浮上させ、双眼鏡を覗いていたベポの声に、全員がデッキに上がる。
「マジか! ビブルカードは? ビブルカードは島を指してんのか?」
「アイアイ。試しに梶を切ってみたけど、バッチリ島に向かって動いてる。」
ビブルカードが島に向かって動くということは、目的の人物がそこにいるということだ。
「やったな! 運が悪けりゃ、グランドラインの外かもしれなかったのに、こんなに早く見つかるなんて奇跡ッス!」
まだ本人を見つけたわけではないが、コハクもペンギンの意見に賛同せずにはいられない。
(メルが…、あの島にいる。)
外の世界で彼女と会うのは、これが初めてだ。
「コハク、そういやアイツのダチってのはどんなヤツだ。」
ローに尋ねられて、そういえばみんなにメルディアの詳しい説明をしていないことに気がついた。
「商人だよ、元海賊だけど。海賊時代に母さんと出会ったんだって。」
「元海賊か…。行儀のよさそうな人間とは思えねェな。」
人のことを言える立場ではないが、海賊は荒くれ者やひねくれ者の集団で、モモのような素直でおとなしいタイプはめったにいない。
その指摘にコハクも思うところがあるのか、曖昧に頷く。
「まあ、行儀は悪くないけど、母さんと正反対のタイプだよ。」
時々、どうしてこの2人が友達なったのだろうと本気で不思議に思う。
「コハク、一応 俺たちにも特徴を教えてくれ。」
ジャンバールに聞かれて、メルディアの姿を頭に思い浮かべる。
「そうだな、…美人だと思う。あと、派手っていうか…スタイルがいい。」
保守的なモモとは、そういう意味でも正反対。
「「スタイル抜群の美女!?」」
食いついたのは、シャチとペンギン。
「会いたい…。あわよくばお友達になりたい…!」
「気合い入れて探すしかないッス!」
目的の軌道修正として、船長の蹴りが入るのはあと数秒後のこと。