第46章 美女と野獣
モモにはわからなかったようだが、ホーキンスはとても驚いていた。
まさかこんなところで、モモと再会するとは思わなかったから。
しかも、このタイミングで。
再会を喜びたいところだが、今 この村は、非常にまずいことになっている。
「海軍に捕まっていたと言っていたが、仲間はいるのか?」
そういえば、不可解なことがひとつある。
ホーキンスは2年前、トラファルガー・ローと再び顔を合わせていた。
『彼女はどうした?』
『彼女…?』
『まさか…、覚えていないのか。』
『だから、なんのことだ。』
あの時、ローにはモモの記憶がまったくと言っていいほど存在しなかった。
“1番大切な宝を失う”
ホーキンスがローを占った結果だ。
ローにとって1番大切な宝は、モモとの記憶だった。
どうして失うことになったのかはわからない。
けれど、それを知った時、ホーキンスはひたすらにモモを心配したものだ。
ローがモモを失ったのなら、モモもまた、ローを失ったということになる。
それならば、彼女の居場所は今どこにあるのだろう。
「仲間とは…海軍に捕まる前に別れてしまいました。全員捕まるわけにはいかないから。」
どうやら彼女は、ひとりではないらしい。
離れているとはいえ、ちゃんと仲間がいることに少し安心する。
「災難だったな…。お前は今、どこに所属している?」
海軍に追われるくらいだ、まっとうな人生は送れていないのだろう。
だけどモモは、ロー以外の人間のもとで海賊はやらない気がする。
だから彼女の現在が気になった。
「所属って…、ハートの海賊団ですよ。」
ホーキンスがローと再会していたと知らないモモは、なにを今さら?という表情で、当たり前のように言う。
「…では、今もトラファルガー・ローと一緒に?」
「ええ、まぁ。」
肯定はしたが、少々言葉を濁された。
やはり、言いにくいことがあるようだ。
けれどそこは、自分がこれ以上立ち入る領域ではない。
彼女が最愛の人と共にいるのなら、それでいい。