第46章 美女と野獣
「あなたは…、誰?」
彼女の正体が気になり、尋ねてみた。
「あたし? ライラよ。」
「あ…、えっと…。」
聞きたかったのは彼女の正体なのだが、あっさりと自己紹介をされ、モモは質問の仕方が間違っていたことを悔やむ。
「あ、あたしも聞きたいことがあるんだけど!」
次は自分の番だと主張するように、ライラは身を乗り出した。
「なに?」
「人を探してるのよ。ええっと…、そう、あたしによく似た子! 知らない?」
知らない者が聞けば、それは意味不明な質問だったかもしれない。
けれど、モモはライラの言いたいことがわかった。
ミラだ。
彼女はミラを探している。
「知っているわ。」
素直に答えると、彼女はそれこそ飛びついてくるんじゃないかと思うほど反応した。
「えッ! それ、本当!?」
「え、ええ…。」
大きすぎる反応に、若干身体を引きながら頷く。
「どこ? どこにいるの!?」
「えっと…、この船に乗っていると思うけど…。」
そう答えるやいなや、部屋を出て行きそうなライラに、モモは慌てて付け足す。
「あ、でも! ここ何日か見ていないの。もしかしたらいないのかも。」
「え! 嘘でしょ!」
目に見えて落胆する彼女を、モモは「いるかもしれないけど!」となぜか慰めることになった。
「ありがと。…あんた、優しいわね。」
モモがそれほど親身になってくれるとは思わなかったのか、ライラは大きく息を吐く。
「貴重な情報をくれたし、お礼をしなくちゃね。」
「え、そんな…。」
モモにとっては、たいしたことではない。
「あんた、捕まってるのよね?」
今さらながらの質問だが、もちろんここに好きでいるわけではない。
「ねえ、ここから出たい?」