第46章 美女と野獣
ハートの海賊団と麦わらの一味は、ドレスローザの一件から、現在 最も海軍の注目すべき海賊だと言っても過言ではない。
海軍の威信から、この海賊同盟を捕まえようと躍起になっている。
だから、ひとたび海へと出航すれば、海軍の船を呼び寄せることなど容易い。
「ここは私の腕の見せどころね。安心してちょうだい、私、狙った獲物は逃さないの。」
戦闘においては消極的なナミだが、盗みとなると“泥棒猫”の名にふさわしく、自信に満ちた表情をする。
「おい、ナミ。それでも、なるべく小さい船を狙おうぜ。」
同じく戦闘に消極的なウソップは、“大きな軍艦に戦いを挑んではいけない病”を発症し、ガクガクと膝を震わせた。
「おれは、赤犬をぶっ飛ばしてぇ!」
話を聞いていたのかいないのか、ルフィがこれまた空気の読めない発言をする。
これにはウソップだけでなく、ナミも加わり両サイドから拳骨が飛んだ。
「ぶへ!」
「あんたねぇ、本当に今の状況わかってんの!? モモが自ら捕まりにいったのは、そんなバカなことが起こらないようにするためでしょ!」
「そうだぞ、ルフィ! お前、俺たちを殺す気か!」
猛反対の怒声を飛ばすが、実際、2人はルフィの気持ちも痛いほどわかっていた。
赤犬に奪われた命。
あの頂上決戦の惨劇は、どれほど時が経とうと記憶に新しい。
しかも、その場に自分たちはいなかった。
でも、わかってはいるが、そんな船長を止めるのもクルーの役目。
特にこの一味では。
「今はモモの命が第一! それともあんた、赤犬の方が大事なわけ?」
そこまで言われてしまえば、いくら頑固なルフィとて、口を尖らせて黙るしかない。
しかし、その目が納得していないのは明らかだ。
「まあ、赤犬のことは避けて通れない道かもしれないけど、やるべきことが決まったのなら、少しでも早く行動しましょう。」
ロビンの言うとおり、なにせ時間がない。
海軍本部に到着してしまったら、モモの奪回は難しくなる。
「それなら二手に分かれるか。分散した方が、海軍に見つかる可能性も倍になる。」
その分戦力は半減するが、各船には5億の賞金首が乗っている。
まず問題はないだろう。
エターナルポースを入手したら、電伝虫で連絡を取り合えばいい。