第46章 美女と野獣
今後の目的が定まったローたちは、同盟中である麦わらの一味に説明すべく、デッキへと出た。
「……というわけだ。度々で悪いが、俺たちは一時離脱させてもらう。」
モモを奪還するため、海軍及び政府にケンカを売る。
しかし、その説明に首を傾げ、1番に声を上げたのは麦わらの一味 船長であるルフィ。
「んー、よくわからねぇや。なんでだ?」
「やいやい、麦わら! おれたちの話を聞いていなかったのか。おれたちは、モモを助けに行くんだよ!」
どこをどう聞いたらわからなくなるのか。
ベポは憤慨してルフィに噛みつく。
「いや、だからよぉ、なんでお前らだけで行くんだ?」
「へ…?」
不満そうに口をへの字に曲げるルフィに、ベポの動きが思わず止まった。
「モモはもう、おれたちの仲間でもある。そしたら、おれたちも行くに決まってんだろ!」
除け者にされたことが気にくわず、少し怒ったように言うルフィに、サンジは「当たり前だ」と同調し、ナミとロビンも頷く。
しかし、ウソップだけは焦ったように声を上げた。
「うおぉい、ルフィ! お前、わかってんのか! コイツらがケンカを売ろうとしてんのは、あの赤犬で、海軍本部なんだぞ!」
まあ、当然の反応である。
ローだって、モモが絡んでいなければ、こんな気違いなことは絶対にしない。
むしろ逆の立場であれば、鼻で笑ったところだ。
けれど、ルフィはといえば、ウソップの言うことに「だから?」と言い返す。
「だからって…、自殺行為だろうが! 海軍本部にゃ、大将クラスの敵がわんさかいるんだぞ!」
それをたった十数人で挑むなど、冗談にもほどかある。
「鼻屋の言うとおりだ。本部に攻め入りゃ、ほとんど勝ち目はねェ。仲間の尻拭いは、仲間内でする。」
なにも共倒れすることはない。
しかし、そんなローの言葉に、ルフィは声を荒げる。
「…だから! アイツはおれたちの仲間だって言ってんだろ!!」
いや、違うだろ。
自分たちは同盟中なだけであって、仲間じゃない。
そう思って、麦わらの一味の中では割とまともな考え方を持っているであろうゾロやフランキーに目を向けたが、2人は「諦めろ」と言わんばかりに肩を竦めた。
まったく、どうしてこんな連中と組んでしまったんだか…。