第45章 告白、そして…
「きゃ……ッ」
突然の揺れに船は大きく傾ぎ、モモはバランスを崩して尻もちをついた。
「おい、大丈夫かい、ねぇちゃん。」
「ええ…。でも、なにが起きたの?」
打ちつけた腰をさすりながら、周囲を窺った。
すると変化はすぐに訪れて、モモもフランキーも顔色を変える。
「おいおいおい。なんじゃこりゃァ…。」
「海が、…沸騰してるわ!」
先ほどまで穏やかだった海は、ボコボコと音を立てて煮えたぎっている。
まるで鍋の中のような異様な光景に、モモは息を飲む。
「あっちィ…! どうなってんだッ」
海から発生する蒸気のせいで、船上はあっという間に蒸し風呂のような暑さになる。
「さっきの揺れ…。海底火山が噴火したんだわ。」
島に到着する時にナミが言っていた。
この島の海底には、火山が無数に存在すると。
モモの仮説を証明するように、次は森から爆音が響き、真っ赤な溶岩が吹き出した。
「うぉッ、スーパーやべぇじゃねぇか…!」
溶岩から火が移り、みるみるうちに山火事が起こる。
「でも、どうして急に…──」
そう言って、ハッとした。
すべての火山が突然噴火するわけなどない。
なにか、キッカケがない限り。
キッカケなんて、決まってるじゃない…!
ローが戦っている相手は誰か。
その人物の能力はなにか。
「これを、サカズキが…?」
導き出した答えは、にわかには信じられない。
なぜならば、この惨状を生み出した結果、どうなるかわからないほど海軍もバカではないからだ。
そろりと目線を上げて、先ほどロビンが駆けていった方向を見る。
「街から…、煙が…。」
街の空には赤い流星が降り注ぎ、島全体を同じ色に染めていく。
『赤犬は冷徹で非情な男なの。』
ロビンの言葉がこだまする。
けれどこれは、冷徹や非情なんて言葉じゃ済まされないことだ。
ローやルフィを捕らえるために?
わたしを、捕らえるために…?
そのためなら、島民の命を奪ってもいいと?
「嘘でしょう…?」
口から滑り落ちた呟きは、新たな爆発音によって掻き消された。