第45章 告白、そして…
サカズキの起こした噴火は、島中のあちこちを襲った。
街には爆風によって吹き飛ばされた溶岩や瓦礫が、雨のように降り注ぐ。
勢いよく落ちてきた瓦礫は家の屋根を突き破り、飛び散った溶岩はところどころで火災を生んだ。
突然の災害に人々はパニックを起こし、街中から叫び声が上がった。
「うわぁぁん! お母さぁん!」
祭に参加していた島民が一斉に逃げ惑い、母親とはぐれた子供が泣き叫ぶ。
その頭上で、破壊された家の屋根が崩れ落ち、子供に向かって降ってくる。
「危ねぇ!」
“毛皮強化”
ボスン!
落ちてきた瓦礫は飛び出してきた“毛玉”に弾かれて、子供に当たることなく転がった。
“天候の卵”
「生まれてきなさい、雨雲ちゃん!」
なんの変哲もないステッキからポンと飛び出た小さな卵は、パカリと割れて雨雲を生む。
あっという間に広がった雨雲は、一帯にどしゃ降りの雨を降らせた。
「チョッパー! その子、大丈夫?」
鎮火を確認したナミは、泣きじゃくる子供を介抱していたチョッパーに近寄った。
「ああ。ちょっと転んだみたいだけど、大きなケガはないよ。」
「そう。良かった…。」
けれど辺りを見回しても、子供の母親らしき人物は見つからない。
きっと子供を探しているだろうが、この混乱状態では仕方ないだろう。
空からは次々と新たな溶岩が飛んできて、今さっき鎮火したばかりの建物に飛び火するのも時間の問題だ。
「いったい、どうなってんのよ…!」
ルフィや仲間たちを探しに街へ出たというのに、待っていたのは燃え盛る惨状だった。
こんな悲惨な状況だというのに、島にやってきたはずの海兵は、誰ひとり顔を出さない。
本来なら、島民の救助は彼らの仕事なのに。
「これじゃあ、ルフィたちを探しているヒマもないじゃない!」
ケガ人は続出。
放っておけば街は火の海。
このまま放置して逃げ出すほど、ナミもチョッパーも愚かではなかった。
「…ルフィたちを探すのはあとよ! そのうち嫌でも見つかるでしょ。」
「うん。おれもケガ人を見過ごせない。」
きっと他の仲間たちだって、この瞬間、なにかを守っているに違いない。
「まずは、この子のお母さんを探しましょ。」
「わかった。」
チョッパーは子供に鼻を寄せ、染み付いた母親の匂いを頼りに街を歩き出した。