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セイレーンの歌【ONE PIECE】

第45章 告白、そして…




温泉と鉱山が有名なこの島の地底には、いくつもの海底火山が眠っている。

いずれも活火山だが、海深くにある火山は、普段は地熱によって温泉を生むほどの影響しか与えていない。

しかし、今、叩き起こすかの如く、灼熱のマグマが突きつけられた。

外部から強烈な刺激を受けた火山は、いったいどうなるのだろうか。

そんなこと、子供にだってわかる。

最悪の、始まりだ。


激しい揺れと共に、地底からゴゴゴ…と低い音が鳴り響く。

まるで、眠っていた獣が唸り声をあげるように。

(バカな…。これが…海軍のやることか…?)

ローの胸に、危機感よりも先に驚きが走った。

なぜならば、この状況を作ったのは、目の前にいる男だから。

正義の象徴。
先頭に立つはずの、海軍元帥。


言葉を失い立ち尽くしていると、ドカンと爆発音が起こり、激しい水しぶきが舞った。

爆発先は海。
降り注ぐ水は海水のはずなのに、沸騰したお湯のように熱い。

それを発端にいくつも爆発が起き、海面からはボコボコと気体が発生する。

「う、海が…煮えている…!」

避難していた海兵が、信じられないものを見たかのように呟く。

爆発は海だけにとどまらず、大地が破裂して割れ目から真っ赤な溶岩が流れ出した。

爆発の衝撃で溶岩は飛び散り、猛威をふるう。

「た、大変だ! 森が…!」

広大な森からは、あちこちで黒煙と共に火の手が上がる。

このままでは、あっという間に火の海だ。


「てめェ…ッ、自分がなにしてんのか、わかってんのか!」

この惨状を起こした本人を睨みつけた。

「わかっとるわぃ。こうすりゃァ船も出せず、セイレーンは逃げられんじゃろう。」

「正気か…!?」

海は海底からの熱で蒸気がもうもうと上がり、灼熱地獄と化していた。
確かにこれでは出航するのは難しい。

けれど、受ける被害はその比ではない。

「元帥…! 街にも爆発が起こり、あちこちで火災が起きている模様です!」

そう、この行いで苦しむのは、自分たちだけではない。

善良な島民たちの、命に関わる。

しかし、当のサカズキは臆することなく平然と答える。

「仕方なかろう、正義のためじゃけぇ。」

正義のためなら“多少”の犠牲など、気にしてられないのだ。



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