第45章 告白、そして…
“タクト”
生き物のようにこちらへ伸びてくるマグマを防ごうと、ローは能力を使って地面を隆起させ、壁を作った。
しかし、サカズキのマグマは黒煙を放ちながら、岩の壁をいとも簡単に溶かし尽くす。
「チ…ッ」
“シャンブルズ”
くるりと指を回すと、一瞬のうちにローの立ち位置は、少し離れたとろこにいた海兵のひとりと入れ替わった。
「え…ッ! うわッ、げ…元帥…--!」
咄嗟のことに反応が遅れた海兵は、無惨にもサカズキのマグマに飲み込まれた。
「ひ……ッ」
叫び声ひとつ上げられずに塵と化した仲間を目の当たりにして、周囲を取り囲んでいた海兵たちは、どよめき、数歩後ずさった。
けれど、当のサカズキは部下を手に掛けたというのに、表情ひとつ変えずローの姿を追うと、次なる攻撃を繰り出す。
まるで、自分の前に立つ人間は、すべて敵だというように。
「うわァ…ッ! た、退避ーー!」
凄まじい力を前に、海兵たちはローの討伐など忘れ、蜘蛛の子を散らすように一斉に逃げ出す。
そんな部下たちの様子になど目もくれず、サカズキは広範囲に渡ってマグマを放った。
「ぐ…ッ」
瞬間移動にてマグマを回避したが、範囲が広すぎて熱風を受けてしまう。
マグマから生まれる熱風は、熱い風なんて可愛いものじゃなく、灼熱の刃のようだった。
咄嗟に肌を庇ったが、服はじりじりと焼け焦げ、発生した気流によって帽子が吹き飛ぶ。
うっかり空気を吸い込めば、気管が焼けて張り付きそうな熱さだった。
(この、化け物が…ッ)
桁外れの強さに、ローはなす術もなく、身体を吹っ飛ばされた。
「なにが最悪の世代じゃい。ガキ共が調子に乗りおって…。」
ものの数分のうちに、辺りは焼け野原となり、木々の焦げた異臭だけが漂う。
「ほんじゃぁ、教えてもらおうかい。セイレーンの居場所を…。」
お前が、生きているうちに。