第45章 告白、そして…
溢れ出した怒りに身を任せ、ローは長刀を振るう。
“インジェクション・ショット”
海軍元帥 サカズキの、その首を狙って。
「ふん…、ガキが…!」
ガキィン…!
「……!」
鋭い音を立て、刀の切っ先は遮られる。
武装色の覇気を纏った、サカズキの腕によって。
「ドフラミンゴやヴェルゴを倒したくらいで、思い上がっとるんと違うか。」
もう片方の腕が、ドロリと赤く膨らむ。
熱気を感じて、弾かれたようにローは後方へ跳んだ。
マグマと化した拳が空を切る。
不快な熱風が頬を撫でた。
あと少し退くのが遅ければ、灼熱の拳が身体を貫いただろう。
エースと、同じように…。
「クソ…ッ!」
荒れ狂う心をなんとか抑え、ローは息を吐き出した。
冷静さを失えば、相手の思うつぼだ。
サカズキも、それを狙って挑発しているに違いない。
この場で勝利することは難しくても、逃げることならば可能だ。
体力は削られるが、ROOMを広げて瞬間移動すれば、なんとか撒くことはできるだろう。
(なにやってんだ、俺は…ッ。当初の目的を思い出せ…。)
仲間たちが出航するまでの時間稼ぎ。
そのために海軍を食い止めに来たのだ。
自分はここでやられるわけにいかない。
かといって、単独でサカズキを討てるほど、自分に力があると過信してもいない。
心の底から腹立たしい。
モモにそんな未来を用意しているこの男を、切り刻んで殺してやりたい。
(覚えていろ。いつか、必ず…!)
ギリリと奥歯を噛み締め、その衝動を必死に堪えた。
「なんじゃい、かかってこんのか。」
それっきり攻撃してこないローを見て、サカズキは片眉を上げる。
「生憎 俺は、てめェと遊んでるほどヒマじゃねェんだよ。」
今、仲間たちはどうしているだろうか。
合流できたのか、それともまだ街中にいるのか。
「ほうかぃ。じゃが、わしはお前の首に用がある。そいと、麦わらの首にもなぁ!」
サカズキの身体が煮えたぎるマグマに変わり、こちらに突進してくる。
“ROOM”
すかさずサークルを張って、応戦の準備を整えた。
(早くしろ、麦わら屋! たぶん、そう長くは保たねェ。)