第45章 告白、そして…
「なぜ、お前ら政府の連中は、そうまでしてアイツに執着する。」
「なんじゃと…?」
モモの能力は聞いた。
不思議な力を持っていると思う。
けれど、そんな異能力者など、この海にはごまんといる。
全身ゴム人間だったり、不治の病をも治療できるオペ人間だったり。
そう、悪魔の実の数だけ、能力者は存在するのだ。
モモだけが特別ではない。
それなのに、海軍元帥がわざわざ出向く理由がわからなかった。
「お前は愚かじゃのぉ、トラファルガー。セイレーンの価値すらわからんとは。」
ローの問いに、サカズキは嘲笑うかのように鼻を鳴らした。
「セイレーンの歌には、わしら能力者とは違い、無限の可能性がある。」
歌に想いを込めれば、実現してしまう異能。
傷を癒すことも、天候を操ることも幅広く可能にしてしまう歌。
要は、使い方しだい。
「お前は想像したことがあるか。もし、その歌に洗脳の意志を込めたらどうなると思う。もし、その歌に殺意を込めたらどうなると思う。」
もし、歌に洗脳の意志を込めたなら、聞いた人間を思いのままに操れる。
もし、歌に殺意を込めたなら、聞いた人間の息の根を止めることができる。
「わかるか、トラファルガー。セイレーンはこの腐った海を粛正しようるための、正義の道具じゃ。」
この男、なにを言っている。
モモに人間の心を奪う歌を唄わせる気か。
モモに人間の命を奪う歌を唄わせる気か。
彼女の歌は、そんなことをするためのものじゃない。
何度も聞いた、モモの歌。
美しくて、優しくて、心が…温かくなる。
そんな歌だった。
それを、そんなくだらないことに使おうとするとは…!
自分の宝物を侮辱された気分だった。
「てめェ…、バカにすんのもいい加減にしろ。アイツがそんなこと、するわけねェだろうが…!」
マグマのような怒りが、ふつふつと湧き上がり、ローの瞳が闘志に燃えた。