第45章 告白、そして…
モモと別れた後、船と反対方向に進んだローは、行く先々で海兵と出くわした。
“ROOM”
「お、お前は、トラファルガー・ロー!」
“シャンブルズ”
「ぎゃーッ、俺の頭が岩に変わった!」
いくら場数を踏んだ海兵であっても、相手がローであれば武力も覇気もないに等しい。
とはいえ、ここは新世界。
兵を率いる手強い将が必ずいるはずだ。
(できれば、面倒なことになる前に、叩いておきてェが…。)
騒ぎを聞きつけて海兵がわらわらと集まってくる。
どれだけの人数が島にやってきたのかは知らないが、これをひとりで殲滅させるのは骨が折れそうだ。
「チ…ッ、白猟屋の連中とはワケが違ェな。」
かつてパンクハザードという島で、ローは海軍中将スモーカーが率いる海兵たちをひとりで相手にしたことがある。
しかしスモーカーが連れている海兵たちは、覇気も使えぬチンピラばかり。
やはりここは、ある程度時間を稼いでから退散した方が得策である。
能力によって瞬間移動ができるローは、船さえ海に出てしまえば、後からでも合流できるのだ。
仲間たちが集まるには、あとどのくらい時間が必要だろうか。
そんなことを考えた瞬間だった。
ぞわりと悪寒を感じ、ローは咄嗟に刀を握り直す。
「なんじゃい、セイレーンはまだ捕まらんのか。」
刺すような殺気。
刃を交えていた海兵とは、まったく比べものにならない。
息もできぬほどの威圧感を漂わせる男の姿を見たとたん、心の中で「嘘だろ…」と呟かずにはいられない。
「オイ…、なんでてめェが…こんなところにいる。」
本来なら、こんな島になんかいるはずのない人物だ。
かつて海軍大将であったその男は、今や元帥の立場にある。
海軍本部にいて然るべき人間なはずなのに。
「そりゃァ…わしのセリフじゃけぇ、トラファルガー。なぜお前がセイレーンを持っとる。」
セイレーン。
セイレーンだと…。
ここまできて、ようやくローは理解した。
モモという女の価値に。
海軍が、この男がここにいる理由は、すべてモモを捕らえるためだ。
それほどまでに、政府にとって彼女の存在は大きい。
理由がモモならば、ここで引くわけにはいかなくなった。
例え相手が、海軍元帥 サカズキであっても。