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セイレーンの歌【ONE PIECE】

第45章 告白、そして…




「あの、ロー!」

慌てて呼び止めると、彼は少し離れたところで振り返った。

「なんだ。」

「あの、わたし…。」

呼び止めてみたはいいものの、このタイミングで言っていいのか悩む。

“あなたが好き”って。

これから戦いに行くっていうのに、そんなことを言ってる場合じゃないのでは?

たぶん、喜んでもらえると思うんだけど。

(喜ばれなかったら、どうしよう。)

セイレーンのことも隠していたし、後ろめたいことはたくさんある。

(いや、でも、喜んでもらえるとかそういうことじゃなくて、気持ちを伝えることが大事なんだし…。)


「オイ、なんか用があるんじゃねェのか。」

「ああ、うん。えっと、あのね…。」

なんだろう、すごく緊張する!
心臓が早鐘を打って、今にも破れそうだ。

知らなかった。
気持ちを打ち明けることが、こんなに緊張するなんて。

昔、彼に好きだと伝えた時は、緊張するような状況じゃなかったし、勢いに任せていた。

(勢いって、大事なのね…。)

だとしたら、ローも緊張したのだろうか。

魚人島で、好きって言ってくれた時。

それなのに、自分は勝手な理由で跳ねのけた。

だからちゃんと、今度は自分の口から言わなくちゃ。


「なんだ、言いたいことでもあんのか?」

「うん、あの…。」

大きく息を吸い、吐く。

「戻ってきたら、…ローが戻ってきたら、話したいことがあるの。」

「は? 今言やァいいじゃねェか。」

「大事なことなの、すごく。…だから、帰ってきたら、話したい。」

勇気がなくて、ごめんなさい。

でも、この島を出たら、また海に出たら、ありのままの気持ちを伝えるから。

「……? わかった、行ってくる。」

そう言うとローは背中を向け、今度こそ行ってしまった。


収まりつつある胸の音を宥めながら、モモは大事なことに気がつく。

「あ…。大変、ローにサカズキのことを言ってなかったわ。」

軍隻を率いているのが、赤犬であることを伝え忘れた。

けれど、ローの姿はもう見当たらない。

追っていったら、たぶんすごく怒られる。

「…大丈夫よね、ローはすごく強いもの。」

ローはいつだって、モモの中で1番だったから。



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