第45章 告白、そして…
口が利けなくなった海兵を、他の仲間は恐れおののきながら見つめるが、ここにいる海兵は仮にも新世界を旅する者たち。
明らかに格上の海賊を前にしても、海兵としての矜持だけは失わない。
「貴様ら…、無事にこの島を出られると思うなよ! すぐに大勢の部隊が駆けつけてくるからな!」
「そうだ! この先に貴様らの船があることはわかってるんだ!」
刀を鞘に収めたローは、大太刀を肩に担ぐと不敵に笑って鼻を鳴らす。
「てめェらごときが何人来ようが、相手にすらなんねェよ。」
これ以上話すことはない…と、彼らをその場に放置し、ローはモモの手を取って歩き出した。
しばらく歩くと森を抜けて海岸へ出た。
そこでローは、おもむろにモモの手を離す。
「お前は先に戻っていろ。」
「え…、ローは?」
「俺はヤツらの船を叩きに行く。」
先ほどはああ言ったものの、海賊船に海兵が押し寄せるのはマズイと考えていたようだった。
「ベポたちも、麦わら屋たちも、まだ街に散らばってる。コハクもお前を探しにいったままだ。ある程度 時間を稼いでおいた方がいいだろ。」
「……。」
だったら自分もついていきたいという気持ちにかられた。
けれど、それが足手まといになるってことは、モモが1番わかっている。
不安そうな目で見ていたら、軽く額を小突かれた。
「心配すんな、俺を誰だと思ってる。」
「……うん。」
そうよね、ローだったら大丈夫。
「真っすぐ船に戻れよ。寄り道しやがったら、今度は冗談抜きで首輪をつけてやるからな。」
「もう、なに言ってるの。」
「あと、すぐにその服装をどうにかしろよ。他のヤツらに見せたら、承知しねェ。」
「わかったから…。」
やっと元気を取り戻してきたところで、突然緩く抱きしめられる。
しかしそれも一瞬で、ローはすぐに身体を離し、海軍船の方向へと足を向けた。
「気をつけてね…!」
「ああ。」
ローの背中を見つめながら、モモは言わなければいけないことを思い出す。