第45章 告白、そして…
モモと別れたコハクは、ひとり宿屋へと戻ってきた。
「…ただいま。」
「おかえり、コハク。…あれ、お前ひとりか?」
チョッパーが声をかけてきた。
広間には数人の仲間が寛いでおり、その中にはローの姿もある。
「アイツはどうした?」
コハクの後ろにモモがいないことを確認して、ローが腰を上げる。
「ああ、ちょっと…。途中で別れたんだ。」
「どういうことだ。」
問いつめられて口ごもる。
「…少し、ケンカしちゃってさ。すぐに戻るって言ってたけど。」
「ケンカ? お前らが…?」
まさかあんなことがあったなんて言えない。
まるっきり嘘というわけではないし、ケンカという言葉で納得してほしい。
「珍しいわね、あんたたち仲良さそうなのに。でも、もう暗くなってきたし、迎えに行った方がいいんじゃない?」
ナミが言うように、日はすっかり暮れて夜の帳が降りていた。
祭りで賑やかだとはいえ、夜道は危ない。
「……ハァ。」
ため息ひとつ零したローは、愛刀片手に玄関へと足を向ける。
モモを探しに行くつもりなのだろう。
いつもなら、率先してついていくコハクだが、今回ばかりは躊躇われた。
たぶん、モモをすごく傷つけたから。
(母さんも、今はオレに会いたくないかもしれない…。)
気まずい雰囲気を作ってしまったのはコハク自身。
だけど、モモが帰って顔を合わせたなら、なんでもないように笑って迎えようと決めた。
ガラリ…!
ローが戸に手をかける前に、勢いよく外から開いた。
一瞬モモかと思ったが、帰ってきたのは昨夜から探していた人物。
サクヤだった。
「あ、サクヤ! 今までどこに行ってたんだよ。こっちは大変だったんだぞ、お前の秘薬が…--」
「悪いが、それどころではない。」
コハクの苦言をサクヤは早口に遮った。
「サクヤ、なにかあったの?」
彼女の様子に訝しんだロビンが尋ねる。
「…悪い知らせだ。この島に、海軍の軍勢が押し寄せてきおった。」
夏の夜に、嵐の予感がした。